三幸保育カレッジ

令和1年度 保育試験 過去問題

「社会的養護(後期)」

令和1年度 保育士試験問題(後期)

1

次の文は、「児童福祉法」第2条の一部である。( A )~( C )にあてはまる語句を 【語群】から選択した場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

全て国民は、児童が良好な環境において生まれ、かつ、社会のあらゆる分野において、児童の年齢 及び( A )の程度に応じて、その( B )が尊重され、その( C )の利益が優先して考慮 され、心身ともに健やかに育成されるよう努めなければならない。

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正解 5
全て国民は、児童が良好な環境において生まれ、かつ、社会のあらゆる分野において、児童の年齢及び( A:イ 発達 )の程度に応じて、その( B:エ 意見 )が尊重され、その( C:カ 最善 )の利益が優先して考慮され、心身ともに健やかに育成されるよう努めなければならない。

「児童福祉法」第2条 参照。

2

次の文のうち、平成28年6月に改正された「児童福祉法」を受けて厚生労働省から示された、 家庭と同様の環境における養育の推進に関する記述として適切な記述を一つ選びなさい。

  • 1 「家庭と同様の養育環境」には、里親がある。
  • 2 「家庭と同様の養育環境」には、地域小規模児童養護施設(グループホーム)がある。
  • 3 「家庭と同様の養育環境」には、小規模グループケアがある。
  • 4 「できる限り良好な家庭的環境」には、特別養子縁組を含む養子縁組がある。
  • 5 「できる限り良好な家庭的環境」には、小規模住居型児童養育事業(ファミリーホーム)がある。

正解 1
1 〇 適切です。
2 × 不適切です。地域小規模児童養護施設(グループホーム)は、「できる限り良好な家庭的環境」です。
3 × 不適切です。小規模グループケアは、「できる限り良好な家庭的環境」です。
4 × 不適切です。特別養子縁組を含む養子縁組は、「家庭と同様の養育環境」です。
5 × 不適切です。小規模住居型児童養育事業(ファミリーホーム)は、「家庭と同様の養育環境」です。

3

次の文のうち、「児童養護施設運営指針」(平成24年3月 厚生労働省)において示されている 「権利擁護」に関する記述として最も不適切な記述を一つ選びなさい。

  • 1 子ども自身の出生や生い立ち、家族の状況については、義務教育終了後に開示する。
  • 2 入所時においては、子どものそれまでの生活とのつながりを重視し、そこから分離されることに伴う不安を理解し受けとめ、不安の解消を図る。
  • 3 子どもが相談したり意見を述べたりしたい時に、相談方法や相談相手を選択できる環境を整備し、 子どもに伝えるための取り組みを行う。
  • 4 いかなる場合においても、体罰や子どもの人格を辱めるような行為を行わないよう徹底する。
  • 5 様々な生活体験や多くの人たちとのふれあいを通して、他者への心づかいや他者の立場に配慮する心が育まれるよう支援する。

正解 1
1 × 不適切です。「家族の状況については、義務教育終了後に開示する」ではなく、「家族の状況について、子どもに適切に知らせる」です。
2 〇 適切です。
3 〇 適切です。
4 〇 適切です。
5 〇 適切です。

「児童養護施設運営指針」の「4 権利擁護」参照。

4

次の【Ⅰ群】の施設種別と【Ⅱ群】の各施設の目的と役割を結びつけた場合の正しい組み合わ せを一つ選びなさい。

【Ⅰ群】
A: 児童心理治療施設
B: 福祉型児童発達支援センター
C: 児童家庭支援センター
D: 児童自立支援施設


【Ⅱ群】
ア: 地域の児童の福祉に関する各般の問題につき、児童に関する家庭その他からの相談のうち、専門的な知識および技術を必要とするものに応じ、必要な助言を行うとともに、市町村の求めに応じ、技術的助言その他必要な援助を行う。

イ: 家庭環境、学校における交友関係その他の環境上の理由により社会生活への適応が困難となった児童を、短期間入所させ、または保護者の下から通わせて、社会生活に適応するために必要な心理に関する治療及び生活指導を主として行い、あわせて退所した者について相談その他の援助を行う。

ウ: 日常生活における基本的動作の指導、独立自活に必要な知識技能の付与または集団生活への適応のための訓練を行う。

エ: 不良行為をなし、またはなすおそれのある児童及び家庭環境その他の環境上の理由により生活指 導等を要する児童を入所させ、または保護者の下から通わせて、個々の児童の状況に応じて必要な 指導を行い、その自立を支援し、あわせて退所した者について相談その他の援助を行う。

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正解 4
A イ 児童心理治療施設の記述です。
B ウ 福祉型児童発達支援センターの記述です。
C ア 児童家庭支援センターの記述です。
D エ 児童自立支援施設の記述です。

5

次の文のうち、「児童養護施設入所児童等調査結果(平成25年2月1日現在) 」 (厚生労働省)における、児童養護施設入所児童の状況に関する記述として正しい記述の組み合わせを一つ選びなさい。

  • A 入所児童のうち、心身の状況について「障害等あり」とされた児童は、全体の約5割であった。
  • B 入所児童の「被虐待経験あり」は全体の約3割であった。
  • C 入所児童の、入所時の年齢で最も多いのは2歳であった。
  • D 入所児童の、入所時の保護者の状況について「両親又は一人親」とされた児童は、全体の約8割 であった。
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正解 5
A × 不適切です。「障害等あり」とされた児童は、全体の約3割です。
B × 不適切です。「被虐待経験あり」は全体の約6割です。
C 〇 適切です。
D 〇 適切です。

※「児童養護施設入所児童等調査」は平成30年2月1日現在が最新です。
A:「障害等あり」とされた児童は、全体の約4割です。
B:「被虐待経験あり」は全体の約7割です。
D:「両親又は一人親」とされた児童は、全体の約9割です。

6

次の文のうち、家庭支援専門相談員(ファミリーソーシャルワーカー)の業務に関する記述として不適切な記述を一つ選びなさい。

  • 1 対象児童の早期家庭復帰のための保護者等に対する相談援助
  • 2 対象児童等に対する心理療法
  • 3 退所後の児童に対する継続的な相談援助
  • 4 里親委託・養子縁組の推進
  • 5 児童相談所等関係機関との連絡・調整

正解 2
1 〇 適切です。
2 × 不適切です。対象児童等に対する心理療法は、心理療法担当職員の仕事です。家庭支援専門相談員の業務には含まれません。
3 〇 適切です。
4 〇 適切です。
5 〇 適切です。

7

次の文のうち、「児童養護施設運営指針」(平成24年3月 厚生労働省)において示されている「発達の保障と自立支援」に関する記述として適切な記述の組み合わせを一つ選びなさい。

  • A 子どもは、愛着関係や基本的な信頼関係を基盤にして、自分や他者の存在を受け入れていくことができるようになる。
  • B 子どもの自立に向けた生きる力の獲得は、集団生活における協調性が基盤となり可能となる。
  • C 社会的養護では、子どもの自立や自己実現を目指して、子どもの活動の制限と他者との調和を大切にする。
  • D 子どもは、様々な生活体験を通して、自立した社会生活に必要な基礎的な力を形成していく。
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正解 3 
A 〇 適切です。
B × 不適切です。「集団生活における協調性が基盤」ではなく、愛着関係や基本的な信頼関係の形成が重要です。
C × 不適切です。「子どもの活動の制限と他者との調和を大切にする」ではなく、「子どもの自主的な活動を大切にする」です。
D 〇 適切です。

「児童養護施設運営指針」の「発達の保障と自立支援」参照。

8

次の文のうち、「児童養護施設運営指針」(平成24年3月 厚生労働省)において示されている「社会的養護の原理」に関する記述として最も適切な記述を一つ選びなさい。

  • 1 社会的養護は、できる限り特定の養育者による一貫性のある養育が望まれる。
  • 2 社会的養護における養育は、つらい体験をした過去を現在、そして将来の人生と切り離すことを目指して行われる。
  • 3 社会的養護における養育は、効果的な専門職の配置ができるよう、大規模な施設において行う必要がある。
  • 4 社会的養護における支援は、子どもと緊密な関係を結ぶ必要があるので、他機関の専門職との連携は行わない。
  • 5 社会的養護は、措置または委託解除までにすべての支援を終結し、自立させる必要がある。

正解 1
1 〇 適切です。
2 × 不適切です。社会的養護における養育は、虐待や分離体験などによる悪影響からの癒しや回復を目指した専門的ケアや心理的ケアを行います。
3 × 不適切です。社会的養護における養育は、家庭的養護を推進していくため、できる限り小規模で家庭的な養育環境(小規模グループケア、グループホーム)の形態に変えていくことが必要とされています。
4 × 不適切です。社会的養護における支援は、継続的支援と連携アプローチが求められています。
5 × 不適切です。社会的養護では、社会に出てからの暮らしを見通した支援を行い、虐待や貧困の世代間連鎖を断ち切っていけるような支援が必要とされています。

「児童養護施設運営指針」の「社会的養護の原理」参照。

9

次の文のうち、児童養護施設における第三者評価および自己評価に関する記述として適切なものを一つ選びなさい。

  • 1 第三者評価の受審が義務づけられている。
  • 2 第三者評価は、4か年度毎に1回以上受審しなければならない。
  • 3 自己評価の結果の公表は任意である。
  • 4 自己評価は、2か年度毎に1回行わなければならない。
  • 5 第三者評価における利用者調査の実施は任意である。

正解 1
1 〇 適切です。
2 × 不適切です。「4か年度毎に1回以上受審」ではなく、3か年度毎に1回以上受審です。
3 × 不適切です。「結果の公表は任意」ではなく、結果の公表は義務です。
4 × 不適切です。「2か年度毎に1回」ではなく、毎年度行わなければなりません。
5 × 不適切です。「利用者調査の実施は任意」ではなく、義務とされています。

10

次の【事例】を読んで、【設問】に答えなさい。

【事例】
 児童養護施設に勤めるXさん(保育士)は、Y君(6歳)を担当している。Y君は、年下のZ君 (3歳)が楽しそうに積み木を組み立てていると、それをわざと壊したりする。こういった場面が最 近とても頻繁にみられるので、Xさんは、Y君を注意することが多くなっている。そこでXさんは主 任保育士に相談をした。すると、主任保育士からは、Y君の得意なことを活かした支援をするように と指導を受けた。


【設問】
 主任保育士からの指導の内容を表す最も適切な語句を一つ選びなさい。

1スティグマ
2パーマネンシー
3社会的包摂
4多様性
5ストレングス

正解 5
1 × 不適切です。スティグマは、心身の障害や貧困による社会的な不利益や差別、屈辱感や劣等感のことです。
2 × 不適切です。パーマネンシーは、恒久性とか永続性のことです。児童福祉分野では要保護児童が「施設でもない、里親でもない、恒久的な家庭」で育てられることを意味します。
3 × 不適切です。社会的包摂(ソーシャル・インクルージョン)は、すべての人々を孤独や孤立、排除や摩擦から援護し、健康で文化的な生活の実現につなげるよう、社会の構成員として包み支え合うことです。
4 × 不適切です。多様性(diversity)とは、個人や集団間に存在する様々な違いのことです。
5 〇 適切です。ストレングスは、その人の潜在的に持っている力や環境の強みに着目した支援です。