三幸保育カレッジ

令和4年度 保育試験 過去問題

「社会的養護(前期)」

令和4年度 保育士試験問題(前期)

1

 次の【図】は、「社会的養育の推進に向けて」(令和2年10月 厚生労働省)における「家庭と同様の環境における養育の推進」である。図中の( A ) ~ ( D )の語句が正しいものを○、誤ったものを×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

1
2××
3××
4××
5××××

正解 1
(A)~(D)のすべてが記述の通りです。

※「社会的養育の推進に向けて」は令和4年1月版が最新です。

2

 次の文のうち、「児童養護施設入所児童等調査の概要(平成30年2月1日現在)」(厚生労働省)における、児童養護施設の入所児童の状況に関する記述として、適切なものを一つ選びなさい。

16歳未満で入所した児童が約8割である。
2児童の平均在所期間は、10年を超えている。
3児童の入所経路では、「家庭から」が約6割である。
4心身の状況において障害等を有する児童は、約7割である。
5虐待を受けた経験がある児童のうち、心理的虐待は約6割である。

正解 3
1 × 不適切です。6歳未満で入所した児童は50.2%です。
2 × 不適切です。平均在所期間は、5.2 年です。
3 〇 適切です。「家庭から」が、62.1%です。
4 × 不適切です。児童の心身の状況について「該当あり」が36.7%です。
5 × 不適切です。ネグレクトが最も多く63.0%で、心理的虐待は26.8%です。

3

 次の文は、「里親及びファミリーホーム養育指針」(平成24年3月 厚生労働省)の「里親・ファミリーホームの理念」の一部である。( A )~( C )にあてはまる語句を【語群】から選択した場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

  • ・( A 一貫かつ継続 )した特定の養育者の確保
  • ・特定の養育者との生活基盤の共有
  • ・同居する人たちとの生活の共有
  • ・生活の( B 柔軟性 )
  • ・( C 地域社会 )に存在
1
2×
3×
4××
5×××

正解 1
(A)~(C)のすべてが記述の通りです。

4

 次の文は、「児童養護施設運営ハンドブック」(平成26年 厚生労働省)の一部である。( A ) ~ ( C ) にあてはまる語句の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

 記録は、子どもや家族の状況がそこに反映するのみならず、職員のその子どものとらえ方や家族に対しての思いも表現されます。( A )にとらえ記録していくよう心がけても、そこにはその職員の( B )が反映されてきます。そうした記録の内容を振り返ることにより、子どもの理解の仕方や自分の( B )、こだわりがどこにあるのかを知り、子どもへの関わりに活かすことが求められます。その一方で、記録は養育を( C )いくための重要な資料です。子どもの問題行動についての記述も大切ですが、子どもの変化への気づきや成長を感じたエピソードなども重要な情報であることも忘れてはなりません。

1A:主観的B:価値観C:決定して
2A:主観的B:習慣C:引き継いで
3A:客観的B:価値観C:引き継いで
4A:客観的B:習慣C:引き継いで
5A:客観的B:価値観C:決定して

正解 3
 記録は、子どもや家族の状況がそこに反映するのみならず、職員のその子どものとらえ方や家族に対しての思いも表現されます。( A 客観的 )にとらえ記録していくよう心がけても、そこにはその職員の( B 価値観 )が反映されてきます。そうした記録の内容を振り返ることにより、子どもの理解の仕方や自分の( B 価値観 )、こだわりがどこにあるのかを知り、子どもへの関わりに活かすことが求められます。その一方で、記録は養育を( C 引き継いで )いくための重要な資料です。子どもの問題行動についての記述も大切ですが、子どもの変化への気づきや成長を感じたエピソードなども重要な情報であることも忘れてはなりません。

5

 次のA~Dの事項を年代の古い順に並べた場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

  • A 「社会的養護の課題と将来像」(児童養護施設等の社会的養護の課題に関する検討委員会・社会保障審議会児童部会社会的養護専門委員会)
  • B 「新しい社会的養育ビジョン」(新たな社会的養育の在り方に関する検討)
  • C 「児童の権利に関する条約」(国連) 
  • D 「児童の代替的養護に関する指針」(国連)  *C、Dについては国連総会採択時
1A→B→C→D
2A→B→D→C
3C→A→B→D
4C→D→A→B
5D→C→A→B

正解 4
A 2011(平成23)年 「社会的養護の課題と将来像」(児童養護施設等の社会的養護の課題に関する検討委員
会・社会保障審議会児童部会社会的養護専門委員会)
B 2017(平成29)年 「新しい社会的養育ビジョン」(新たな社会的養育の在り方に関する検討会)
C 1989(平成元)年 「児童の権利に関する条約」(国連)
D 2009(平成21)年 「児童の代替的養護に関する指針」(国連)

6

 次の文のうち、アタッチメントに関する記述として、適切なものの組み合わせを一つ選びなさい。

  • A 回避型のアタッチメントでは、養育者との分離時や再会時に、固まったり近づいたと思ったら離れたり、一貫性がない傾向がみられる。
  • B 養育者の子どもに対する感受性、応答性、一貫性が保たれていることが重要である。
  • C 無秩序型のアタッチメントでは、養育者と分離後、一貫して再会してもあまり気にしていないような傾向がみられる。
  • D 養育者にアタッチメントへの理解があることにより、子どもの表面的な行動に惑わされることが少なくなる。
1A B
2A C
3B C
4B D
5C D

正解 4
A × 不適切です。回避型は、養育者との分離に際して泣いたり、混乱を示したりすることが殆どありません。第三者の女性でも、母親の代わりにあやすことができたりします。
B 〇 適切です。
C × 不適切です。無秩序型は、養育者に近づいたり、離れたりと反応が一定せず、突然泣き出す、怒る、抑うつ症状などを示します。虐待の可能性や母親が精神疾患であることが考えられます。
D 〇 適切です。

7

 次のうち、乳児院に配置される職員として、不適切なものを一つ選びなさい。

1保育士
2少年を指導する職員
3家庭支援専門相談員
4里親支援専門相談員
5看護師

正解 2
1 〇 適切です。保育士は看護師に代わり配置することができます。
2 × 不適切です。少年を指導する職員は、母子生活支援施設に配置されます。
3 〇 適切です。家庭支援専門相談員は、乳児院に配置義務があります。
4 〇 適切です。里親支援専門相談員里親支援を行う乳児院に配置されます。
5 〇 適切です。看護師は、乳児院に配置義務があります。

8

 次の文のうち、社会的養護に関わる相談援助の知識・技術に関する記述として、最も適切なものを一つ選びなさい。

1入所児童の言動や家族の状況について情報を収集し、その全体像を把握し、現状を評価する取り組みをエンパワメントという。
2入所児童数人で一つの目標に取り組み、その際に生じる相互関係を通して問題解決を図る取り組みを生活場面面接という。
3子どもが本来持つ力に着目し、それを発揮しやすい環境を整えることをアセスメントという。
4ティータイムなど、施設生活の中で職員が意図的に面接場面を設けることをインテークという。
5子どもが永続的かつ恒久的に生活できる家庭環境で、心身の健康が保障された生活を実現するための援助計画をパーマネンシー・プランニングという。

正解 5
1 × 不適切です。この場合のエンパワメントは、入所児童が本来もっている力を引き出し、入所児童自身が様々な判断や決定ができるように成長、変化していくことを促すことをいいます。
2 × 不適切です。この場合の生活場面面接は、入所児童の居室等の生活場面で行われる面接をいいます。入所児童の環境について十分に観察でき、生活上のリスクを発見しやすいという利点があります。
3 × 不適切です。この場合のアセスメントは、その子どもの情報収集を行い、本人の解決能力や活用できるサービス・社会資源を評価し、課題を明確にする取り組みをいいます。
4 × 不適切です。この場合のインテークは、その子どもと面接を行い、どんな生活状況にあるのか、どんなことに困っているのかを把握することをいいます。
5 〇 最も適切です。子どもが家庭で育つ権利を保障し、子どもと、養育者や養育環境との永続的な関係を重視して立てられるケアプランを、「パーマネンシー・プランニング(Permanency Planning=永続的養育計画)」といいます。

9

 次の【事例】を読んで、【設問】に答えなさい。

【事例】
 F君(14歳)は、父親から虐待を受け、地域小規模児童養護施設で生活している。F君は、共に生活しているG君(4歳)に対して、攻撃的な行動が目立つようになった。ある日、F君は、H保育士がいる前で「お前(G君)、親が来たからって、いい気になってるんじゃねえぞ」と怒鳴りつけた。G君はF君の発言に恐怖を感じている様子が伺えた。
 H保育士は、最近、G君が家族との面会があるたびに、F君のこうした攻撃的言動がみられていること、またF君の家族との面会が最近ないという情報を把握していた。

【設問】
 次のうち、H保育士のF君への対応として、適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

A F君が家族の面会がない喪失感を抱えていると考え、その感情に寄り添う。
B F君の家族関係の調整を家庭支援専門相談員と協議して行う。
C F君への自省を求めるために、攻撃的な行動が間違いであると強く叱責する。
D F君への刺激を低減するために、G君の面会を控えるようにする。

ABCD
1×
2××
3××
4××
5×××

正解 2
A 〇 適切です。
B 〇 適切です。家庭支援専門相談員は、児童養護施設や乳児院などに配置される職員で、ファミリーソーシャルワーカーとも呼ばれます。児童相談所と連携して、虐待など家庭環境上の理由で施設に入所している子どもの保護者との連絡調整をし、家庭復帰や里親委託などをとりまとめ、子どもが施設を早期退所して、親子関係の再構築を図れるよう支援します。また、退所後の子どもの相談対応や、施設職員への指導なども行います。
C × 不適切です。F君を「強く叱責する」ことは心理的虐待に当たるため不適切な関わりです。
D × 不適切です。F君のために、G君家族の面会を減らすことはG君にとって適切ではありません。

10

 次の【事例】を読んで、【設問】に答えなさい。

【事例】
 Lさん(20代、女性)とその娘のMちゃん(4歳、女児)は、2年前から母子生活支援施設で暮らしている。Lさんの元夫からのDVが理由である。母子ともに入所当初、情緒的に混乱している様子がみられた。しかしLさんは、母子支援員との信頼関係の構築や、離婚の手続きが完了したこと、心療内科通院による治療により、最近は落ち着いた暮らしができている。半年前から始めた事務の仕事にも慣れ、安定した収入が得られる見通しが立ち、Lさんから退所の意向が示された。ただしMちゃんは今でも、大人の男性を怖がったり、大きな音に対して過敏に反応して泣き出したりするなど、情緒的に不安定な面がある。

【設問】
 次のうち、Lさんを担当する母子支援員の対応として、適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

A 母子生活支援施設の退所に際しては、児童相談所の措置解除の手続きが必要であることをLさんに伝える。
B 退所後のアフターケアが効果的に行われるよう、退所後の支援計画を作成する。
C 必要に応じて、退所後に生活する地域の関係機関や団体とネットワークを形成する。
D Mちゃんの情緒面が心配であるため、退所を思いとどまるように指導する。

ABCD
1×
2×
3××
4××
5×××

正解 3
A × 不適切です。母子生活支援施設は利用者と施設が直接契約を行います(利用契約制)。母子生活支援施設の利用のための事務は、母子福祉施策等との連携のため、福祉事務所で行ないます。
B 〇 適切です。
C 〇 適切です。
D × 不適切です。母子支援員がLさん母子の私生活を尊重せず「退所を思いとどまるよう指導する」ことは不適切です。母子生活支援施設では、退所後にアフターケアを実施します。