三幸保育カレッジ

令和3年度 保育試験 過去問題

「社会的養護(前期)」

令和3年度 保育士試験問題(前期)

1

 次の文のうち、「新しい社会的養育ビジョン」(平成 29 年 新たな社会的養育の在り方に関する検討会)において、2016(平成 28)年の改正児童福祉法の原則と原則を実現するための取り組みとして記された内容として、適切な記述の組み合わせを一つ選びなさい。

  • A 全ての要保護児童に対して施設養育を原則とすることが示された。
  • B 市区町村の子ども家庭総合支援拠点の全国展開が示された。
  • C 全小中学校にスクールソーシャルワーカーの配置が義務付けられた。
  • D 永続的解決(パーマネンシーの保障)として特別養子縁組を推進していくことが示された。
1A B
2A C 
3A D
4B C
5B D

正解 5
A × 不適切です。「施設養育」ではなく「家庭養育」です。
B 〇 適切です。
C × 不適切です。設問の記述はありません。スクールソーシャルワーカー(SSW)は児童・生徒の問題に対し、保護者や教員と協力しながら問題の解決を図る専門職です。文部科学省は2015年度から全国の公立小・中学、高校に教員とは別にスクールソーシャルワーカーを配置するとともに、教員を支援し、複雑化する課題に「チーム学校」として対応するしくみづくりを検討しています。
D 〇 適切です。

2

 次の文のうち、「都道府県社会的養育推進計画の策定要領」(厚生労働省)において都道府県が策定する社会的養育推進計画の記載事項に定められているものの正しい組み合わせを一つ選びなさい。

  • A 各年度における代替養育を必要とする子ども数の見込み
  • B 各年度における保育所および保育所を利用する児童数の見込み
  • C 小中学校と連携して行う、いじめ防止推進のための取組
  • D 当事者である子どもの権利擁護の取組(意見聴取・アドボカシー)
1A B
2A C
3A D
4B C
5C D

正解 3
A 〇 設問の通りです。
B × 誤りです。記載事項に定められていません。
C × 誤りです。記載事項に定められていません。
D 〇 設問の通りです。

3

 次の文のうち、里親制度に関する記述として、適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

  • A 里親の種類には、養育里親、専門里親、養子縁組里親、親族里親がある。
  • B 里親希望者は、その者の居住地を所管する児童相談所において登録申請をする。
  • C 児童相談所は、里親希望者の家庭訪問を行い、里親の適否について調査を行う。
  • D 児童相談所が里親の認定を行うにあたっては、認定の適否につき要保護児童対策地域協議会の意見を聴く。
1×
2××
3××
4××
5××

正解 1
A 〇 適切です。
B 〇 適切です。都道府県知事は児童相談所長に業務を委託しています。
C 〇 適切です。
D × 不適切です。「要保護児童対策地域協議会」ではなく「都道府県児童福祉審議会」です。

4

 次の文のうち、「社会的養育の推進に向けて(平成 31 年4月)」(厚生労働省子ども家庭局家庭福祉課)における、社会的養護の状況に関する記述として正しい記述の組み合わせを一つ選びなさい。なおファミリーホームとは、小規模住居型児童養育事業を指す。

  • A 里親、ファミリーホーム、社会的養護関係施設に委託・措置されている児童の数は、10 万人を超えている。
  • B 登録里親数は、約1万2千世帯である。
  • C 里親等委託率(児童養護施設、乳児院、里親、ファミリーホームの委託・措置児童数の合計に占める、里親およびファミリーホームの委託児童数の割合)は、約 40%である。
  • D ファミリーホームの委託児童数は3千人に満たない。
1A B
2A C
3B C
4B D
5C D

正解 4
A × 不適切です。「10万人を超えている」ではなく「約4万5千人」です。
B 〇 適切です。
C × 不適切です。「約40%」ではなく「約20%」です。
D 〇 適切です。

問4
※「社会的養育の推進に向けて」は次回“令和4年3月31日版”から出題されます。
A 「10万人を超えている」ではなく「約4万2千人」です。
B 「約1万2千世帯」ではなく「約1万4千世帯」です。
D ファミリーホームの委託児童数は1688人です。

5

 次の文のうち、「民法」における特別養子縁組に関する記述として、不適切な記述を一つ選びなさい。

1特別養子縁組は、その子どもの利益のため特に必要があると認めるときに成立させるものである。
2養子となる者の上限年齢は、特別養子縁組の成立の審判の申立て時に、原則として 15 歳未満であるとされている。
3特別養子縁組をした子どもと実父母との親族関係は、どのような場合にも継続する。
4養子となる者が 15 歳に達している場合において、特別養子縁組の成立には養子となる者の同意がなければならない。
5特別養子縁組の成立には、養親となる者が養子となる者を6か月以上監護した状況を考慮しなければならない。

正解 3
1 〇 適切です。
2 〇 適切です。             ´
3 × 不適切です。特別養子縁組によって実父母との親族関係が終了します。
4 〇 適切です。
5 〇 適切です。

6

 次の文は、「児童福祉施設の設備及び運営に関する基準」(昭和 23 年厚生省令第 63 号)の一部である。( A )~( C )にあてはまる語句の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

 母子生活支援施設における生活支援は、母子を共に入所させる施設の特性を生かしつつ、親子関係の( A )等及び退所後の生活の安定が図られるよう、個々の母子の家庭生活及び( B )に応じ、就労、家庭生活及び児童の養育に関する相談、助言及び指導並びに関係機関との連絡調整を行う等の支援により、その自立の促進を目的とし、かつ、( C )を尊重して行わなければならない。

1A:再統合B:DV被害の状況C:公共の福祉
2A:再統合B:稼働の状況C:その私生活
3A:再統合B:稼働の状況C:公共の福祉
4A:再構築B:稼働の状況C:その私生活
5A:再構築B:DV被害の状況C:その私生活

正解 4
 母子生活支援施設における生活支援は、母子を共に入所させる施設の特性を生かしつつ、親子関係の( A 再構築 )等及び退所後の生活の安定が図られるよう、個々の母子の家庭生活及び( B 稼働の状況 )に応じ、就労、家庭生活及び児童の養育に関する相談、助言及び指導並びに関係機関との連絡調整を行う等の支援により、その自立の促進を目的とし、かつ、( C その私生活 )を尊重して行わなければならない。

「児童福祉施設の設備及び運営に関する基準」第29条 参照。

7

 次のうち、社会的養護関係施設に配置される職員とその施設の組み合わせとして、不適切なものを一つ選びなさい。

1家庭支援専門相談員 (ファミリーソーシャルワーカー)ー 母子生活支援施設
2里親支援専門相談員 (里親支援ソーシャルワーカー)ー 里親支援を行う乳児院
3個別対応職員 ー 児童心理治療施設(旧 情緒障害児短期治療施設)
4職業指導員 ー 実習設備を設けて職業指導を行う児童自立支援施設
5医療的ケアを担当する職員 ー 医療的ケアを必要とする児童が15人以上入所している児童養護施設

正解 1
1 × 不適切です。家庭支援専門相談員は、「児童養護施設」「乳児院」「児童心理治療施設」「児童自立支援施設」に配置義務があります。
2 〇 適切です。
3 〇 適切です。
4 〇 適切です。
5 〇 適切です。

8

 次のうち、フォスタリング機関(里親養育包括支援機関)の業務として、不適切なものを一つ選びなさい。

1里親のリクルート及びアセスメント
2子どもと里親家庭のマッチング
3子どもの里親委託中における里親教育への支援
4里親登録前後及び委託後における里親に対する研修
5養子縁組成立後の養親及び養子への支援

正解 5
1 〇 適切です。
2 〇 適切です。
3 〇 適切です。
4 〇 適切です。
5 × 不適切です。法律上、親族里親や養子縁組里親もフォスタリング業務における支援対象に含まれますが、養子縁組成立後の養親および養子への支援についてはフォスタリング業務には当たりません。養子縁組成立後の養親および養子への支援は、都道府県(児童相談所)の業務です。

9

 次の【事例】を読んで、【設問】に答えなさい。

【事例】
 児童養護施設に入所しているH君(18 歳、男児)は、虐待を理由に小学校4年生の時に施設に入所してきた。高校生活は大きな問題もなく、就職が決まったため、高校卒業と同時に施設を出て、一人でアパートで生活することになった。そうした中、施設を退所する1か月前に、H君がスーパーで万引きをしたと店から施設に連絡があった。

【設問】
 次の文のうち、今後のH君への支援に関する施設の取り組みとして、最も不適切な記述を一つ選びなさい。

1支援計画の再検討を行うため、再度H君のアセスメントを行う。
2今後、自身の問題に取り組んだり助けを求められるようにするため、H君自身が問題を言語化できるよう支援する。
3児童養護施設における継続的な支援が必要と考え、措置延長を検討する。
4児童自立支援施設における非社会的行為防止の支援が必要と考え、措置変更を検討する。
5H君の措置解除の時期等を検討するため、児童相談所と協議する。

正解 4
1 〇 適切です。
2 〇 適切です。
3 〇 適切です。
4 × 最も不適切です。非社会的行動とは、引きこもり等、社会、対人関係を結ぶことを拒否する行動を指します。事例に「高校生活は大きな問題もなく、就職が決まったため…」とあるので非社会的行為防止の支援が必要とは考えられません。
5 〇 適切です。「措置解除の時期等」とあるので、退所時期や退所後のケアも含めて「児童相談所と協議」することは適切です。

10

 次の【事例】を読んで、【設問】に答えなさい。

【事例】
 児童養護施設に入所した直後のJちゃん(7歳、女児)とKちゃん(7歳、女児)と職員Lさん(女性)が遊んでいた。Kちゃんが、Jちゃんに「Jちゃんはお母さんいるの?」と何気なく質問した。すると、「いるよ。でも私、お母さんに嫌われているの。私が悪いの。」と泣き出しそうな顔をして話をした。

【設問】
 次の文のうち、この件における職員Lさんの対応として、最も不適切な記述を一つ選びなさい。

1つらいことを思い出しちゃったんだね、と共感的態度を示す。
2Jちゃんが自分の思いを言葉にできたことを支持し、Jちゃんの責任ではないことを伝える。
3Jちゃんにつらい思いをさせないために、この件には触れずにそっとしておく。
4カンファレンスにおいて、J ちゃんの生い立ちを整理するための支援が必要かを検討する。
5カンファレンスにおいて、児童相談所と情報共有をし、支援計画の見直しが必要かを検討する。

正解 3
1 〇 適切です。
2 〇 適切です。
3 × 最も不適切です。何も働きかけをしないことは、最も不適切です。
4 〇 適切です。
5 〇 適切です。