三幸保育カレッジ

令和2年度 保育試験 過去問題

「教育原理(後期)」

令和2年度 保育士試験問題(後期)

1

 次の文は、「日本国憲法」第 13 条の条文である。( A )・( B )にあてはまる語句の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

 すべて国民は、( A )として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、( B )に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。

1A:個人B:公共の福祉
2A:個人B:法の遵守
3A:人間B:公共の福祉
4A:人間B:法の遵守
5A:社会人B:公共の利益

正解 1
 すべて国民は、( A 個人 )として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、( B 公共の福祉 )に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。

2

 次の文は、「学校教育法」の一部である。( A )~( C )にあてはまる語句の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

第 22 条  幼稚園は、義務教育及びその後の教育の基礎を培うものとして、幼児を保育し、幼児の健やかな成長のために適当な( A )を与えて、その心身の発達を( B )することを目的とする。

第 29 条  小学校は、心身の発達に応じて、義務教育として行われる普通教育のうち基礎的なものを( C )ことを目的とする。

1A:環境B:援助C:施す
2A:教材B:援助C:教授する
3A:教材B:助長C:施す
4A:環境B:助長C:施す
5A:環境B:援助C:教授する

正解 4
第 22 条  幼稚園は、義務教育及びその後の教育の基礎を培うものとして、幼児を保育し、幼児の健やかな成長のために適当な( A 環境 )を与えて、その心身の発達を( B 助長 )することを目的とする。
第 29 条  小学校は、心身の発達に応じて、義務教育として行われる普通教育のうち基礎的なものを( C 施す )ことを目的とする。

3

 次の文は、「保育所保育指針」第1章「総則」に関する記述である。( A )・( B )にあてはまる語句の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

 平成 29(2017)年の改正では、保育所は「( A )を行う施設」として新たに明示され、共有すべき事項として「育みたい資質・能力」が示された。その内容として、「保育所においては、生涯にわたる生きる力の基礎を培うため、資質・能力を( B )に育むよう努めるものとする」とされた。

1A:幼児教育B:一体的
2A:幼児教育B:領域別
3A:幼児教育B:総合的
4A:養護B:一体的
5A:養護B:領域別

正解 1
 平成 29(2017)年の改正では、保育所は「( A 幼児教育 )を行う施設」として新たに明示され、共有すべき事項として「育みたい資質・能力」が示された。その内容として、「保育所においては、生涯にわたる生きる力の基礎を培うため、資質・能力を( B 一体的 )に育むよう努めるものとする」とされた。

4

 次の文は、ある教育方法についての記述である。この教育方法を何というか、正しいものを一つ選びなさい。

 18 世紀末から 19 世紀初頭にかけてのイギリスでは、大量の貧しい民衆を相手に教育しなければならなかった。そのため、数百人の生徒を一つの教場に収容できるような大規模校舎の建設が進められ、その上で、生徒集団の中から優秀な生徒を助教(モニター)として任用し、助教が教師の指示を他の生徒に伝えるという方法をとった。この方法が一斉授業の起源ともいわれている。

1シュタイナー教育
2レッジョ・エミリア・アプローチ
3プロジェクト・メソッド
4モンテッソーリ教育
5ベル・ランカスター法

正解 5  
1 × 誤りです。シュタイナー教育はオーストリアの哲学者であるルドルフ・シュタイナーによって考案されました。『ルドルフ・シュタイナー人智学』を確立したことで有名です。シュタイナー教育を世界で最初に行った学校は、1919年にドイツで創立した『自由ヴァルドルフ学校』です。シュタイナー教育では小学校から高校までの12年間に、子どもたちの発達段階に合わせた授業を行うのが特徴です。保育原理の問9のAの解答解説も併せて確認しましょう。
2 × 誤りです。第2次世界大戦後、イタリアのレッジョ・エミリア市で始められた幼児教育です。プロジェクトと呼ばれるテーマ発展型の保育であることと、その実践の振り返りには、子どもの行動や言葉をメモや写真などの様々な手段を用いて記録しながら作成するドキュメンテーションを活用すること等が特徴です。
3 × 誤りです。キルパトリックが提唱した学習法で、デューイの問題解決の思考過程の分析から生まれました。子どもたちが自ら価値あると感じる課題を設定し、それをプロジェクトとして、目的→計画→遂行→判断・評価という4段階を設定し、自主的な学習態度や社会性を養おうとする学習です。
4 × 誤りです。ローマの医師で教育家のマリア・モンテッソーリ博士が考案した教育法です。子ども自身が、深く集中し継続するように考案された「日常生活の訓練」「感覚訓練」「読み書きと算数」等の教具(着衣枠、重量板、触覚板、円柱さし、ピンクタワー、算数棒、音感ベル等)を選択して活動し、教師は仲介者に徹することが特徴です。また、モンテッソーリはローマのスラム街に子どもの家を作ったことでも有名です。
5 〇 記述の通りです。

5

 次の【Ⅰ群】の記述と【Ⅱ群】の人物を結びつけた場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

【Ⅰ群】

  • A 江戸時代に幼児教育や家庭教育の大切さを指摘した。『和俗童子訓』を著した。
  • B 機関紙『教育問題研究』の中で、実践例等を紹介した。成城小学校を創設した。

【Ⅱ群】

  • ア 貝原益軒
  • イ 森有礼
  • ウ 澤柳政太郎
1
2
3
4
5

正解 2  
A-ア 貝原益軒に関する記述です。
B-ウ 澤柳政太郎に関する記述です。

イの森有礼は明治時代に初代文部大臣に就任した人物です。小学校令、中学校令、帝国大学令、師範学校令を公布し、「学校制度の基礎」を定めました。

6

 次の【Ⅰ群】の記述と【Ⅱ群】の人物を結びつけた場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

【Ⅰ群】

  • A 教育学は、子どもの発達の昨日にではなく、明日に目を向けなければならない。その時にのみ、それは発達の最近接領域にいま横たわっている発達過程を教授の過程において現実によび起こすことができる。
  • B どの教科でも、知的性格をそのままにたもって、発達のどの段階のどの子どもにも効果的に教えることができる。

【Ⅱ群】

  • ア ブルーナー(Bruner, J.S.)
  • イ デューイ(Dewey, J.)
  • ウ ヴィゴツキー(Vygotsky, L.S.)
  • エ キルパトリック(Kilpatrick, W.H.)
  • オ スキナー(Skinner, B.F.)
1
2
3
4
5

正解 4  
A-ウ ヴィゴツキーに関する記述です。
B-ア ブルーナーに関する記述です。
 
・イのデューイはアメリカの哲学者で教育思想家です。『学校と社会』『民主主義と教育』を著しました。シカゴ大学に実験学校(デューイスクール)を開設し、子どもを能動的な活動主体と考え、児童を中心とし、経験の継続的な再構成の大切さを説きました。
・エのキルパトリックについては、問4の3の解答解説を確認しましょう。
・オのスキナーはアメリカの行動主義心理学者です。ネズミを使った実験で「オペラント条件付け」を提唱し、その理論を用いたプログラム学習を開発しました。プログラム学習は「スモールステップ」「積極的反応」「即時フィードバック」「マイペース」が特徴です。

7

 次の文のうち、日本の学校教育制度に関するものとして、適切なものを○、不適切なものを×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

  • A 1945(昭和 20)年、「日本国憲法」と「教育基本法」が施行された。
  • B 2006(平成 18)年、「教育基本法」が改正され、義務教育は「9年の普通教育」から「12 年の普通教育」へと変更になった。
  • C 現行の「学校教育法」では、学校を「幼稚園、保育所、小学校、中学校、義務教育学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校、大学及び高等専門学校」と定めている。
ABC
1
2×
3××
4××
5×××

正解 5
A × 不適切です。「日本国憲法」も「教育基本法」も1947(昭和22)年施行です。
B × 不適切です。義務教育は2006年の教育基本法改正前も後も9年です。
C × 不適切です。保育所は厚生労働省が管轄する「児童福祉施設」です。

8

 次の文の(  )にあてはまる語句として、最も適切なものを一つ選びなさい。

(  )とは、主として学校において、子どもたちが学校の文化ひいては近代社会の文化としての価値、態度、規範や慣習などを知らず知らず身につけていく一連のはたらきのことである。無意図的に、目に見えない形ではあるが、子どもたちに影響を及ぼし、その発達を方向づけていく。

1融合カリキュラム
2経験カリキュラム
3潜在的カリキュラム
4顕在的カリキュラム
5コア・カリキュラム

正解 3  
1 × 不適切です。融合カリキュラムとは、“世界史、日本史、地理、公民を社会科として扱う”等異なる内容の複数の教科を、一定の共通要素に合わせて再編成したカリキュラムです。
2 × 不適切です。経験カリキュラムとは、子どもの生活経験や興味の中から問題を見出し、それを解決しながら豊かな経験を積み重ね、自発的活動を重視するように編成したカリキュラムです。デューイの「問題解決学習」、キルパトリックの「プロジェクト・メソッド」等が有名です。
3 〇 適切です。
4 × 不適切です。顕在的カリキュラムとは、学校の教育目標を踏まえ、学年、学期、月、単元、週などの単位で、各教科及び領域ごとに、編成したカリキュラムです。
5 × 不適切です。コア・カリキュラムとは、カリキュラムの全体的な構成の中に、中核(コア)過程を設け、その周辺に他の教科や活動を行う周辺過程をおいて、中核と周辺を有機的に統合しようとするカリキュラムです。アメリカのヴァージニアプランが有名です。

9

 次の【Ⅰ群】の記述と【Ⅱ群】の人物を結びつけた場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

【Ⅰ群】

  • A ユネスコ(UNESCO)の成人教育推進国際委員会において、「生涯にわたって統合された教育」(lifelong integrated education)を提唱した。
  • B 成人の教育の目的を、人間的になることとして、すべての制度をその実現のために方向づけるように価値の転換に成功した社会を「学習社会」(learning society)と呼んだ。
  • C 子どもに対する教育学である「ペダゴジー」(pedagogy)に対して、成人の学習を支援する教育学として「アンドラゴジー」(andragogy)という造語で成人教育学を提唱した。

【Ⅱ群】

  • ア ハッチンス(Hutchins, R.M.)
  • イ エリクソン(Erikson, E.H.)
  • ウ ラングラン(Lengrand, P.)
  • エ ノールズ(Knowles, M.S.)
  • オ クラントン(Cranton, P.)
ABC
1
2
3
4
5

正解 4
A ウ
B ア
C エ

・イのエリクソンは、「心理社会的発達理論(ライフサイクル論)」を提唱しました。人間の心理は、周囲の人々との相互作用を通して成長していくという考えです。エリクソンは発達は漸次的に展開すると捉え、8つの発達段階それぞれに心理社会的危機があると考えました。

“エリクソンといえばライフサイクル論”“ライフサイクル論といえばエリクソン”です。保育の心理学でも頻出ですのでテキストでしっかり確認をしておきましょう。

・オのクラントンは、成人教育学(成人の発達段階を考慮に入れた学習心理学の知見を多く取り入れた教育手法)の第一人者です。大人の学びは“形を作っていく”ことを重視する子供の学びとはことなり、“形を変えていく=変容していく”ことに重点をおくことが必要になると主張しました。

10

 次の文のうち、「いじめ防止対策推進法」第3条の一部として、下線部分が正しいものを○、誤ったものを×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

1
2×
3×
4×
5××

正解 4
A × 不適切です。「学校内では」ではなく「学校の内外を問わず」です。
B 〇 適切です。
C 〇 適切です。