三幸保育カレッジ

平成29年度 保育試験 過去問題

「教育原理(後期)」

平成29年度 保育士試験問題(後期)

1

次の文は、「日本国憲法」第26条の一部である。( A )・( B )にあてはまる語句の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

すべて国民は、法律の定めるところにより、その保護する子女に普通教育を受けさせる( A )を負ふ。義務教育は、これを( B )とする。

1A 責任B 保護者負担
2A 責任B 無償
3A 義務B 有償
4A 義務B 無償
5A 義務B 保護者負担

正解 4
すべて国民は、法律の定めるところにより、その保護する子女に普通教育を受けさせる( A 義務 )を負う。義務教育は、これを( B 無償 )とする。

日本国憲法からの基本的な箇所の出題です。頻出ですので必ず覚えておきましょう。

2

次の文のうち、「就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律」の一部として正しいものを○、誤ったものを×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

  • A 幼保連携型認定こども園に入園することのできる者は、満3歳以上の子どものみとする。
  • B 幼保連携型認定こども園には、養護教諭を置かなければならない。
  • C 幼保連携型認定こども園は、国、地方公共団体、学校法人及び社会福祉法人のみが設置することができる。
1×
2×
3×
4××
5×××

正解 4
A × 誤りです。幼保連携型認定こども園は保育所としての機能も持つので、3歳未満の子どもも入園することができます。
B × 誤りです。養護教諭の配置は、義務ではなく努力義務です。
※幼保連携型認定こども園には「幼稚園教諭免許状」と「保育士資格」の両方を有している「保育教諭」の配置が必要です。
C 〇 記述の通りです。

3

次の【Ⅰ群】の記述と【Ⅱ群】の人名を結びつけた場合の正しい組み合わせを一つ 選びなさい。

【Ⅰ群】

  • A イタリア初の女性医学博士。子どもは自ら発達する力を持っている、という考えに基づき、幼児期には精神的発達の基礎として「感覚の訓練」が特に重要である、との観点から教具を開発した。
  • B ドイツの教育者。神と自然と人間を貫く神的統一の理念に基づき、「自己活動」と「労作」の原理を中心とした教育の理論を展開した。生まれたばかりの子どもでもあらゆる能力を本来自分の内にもっている、という思想のもとに恩物を開発した。

【Ⅱ群】

  • ア フレーベル(Frӧbel, F.W.)
  • イ モンテッソーリ(Montessori, M.)
  • ウ ペスタロッチ(Pestalozzi, J.H.)
1ア イ
2ア ウ
3イ ア
4イ ウ
5ウ ア

正解 3
A イ モンテッソーリ(Maria.M)… イタリアの医学博士。モンテッソーリ教育の開発者
B ア フレーベル(Friedrich.W.A.F)… ドイツの教育学者。幼児教育の祖。「人間の教育」「恩物」など

人物とキーワードは覚えておきましょう。

4

次の文の著者として、正しいものを一つ選びなさい。

自分の生活に或系統をつけた時に、生活興味が起つて来ると云ふ大きな問題であります。其の意味からしまして、幼児をして断片の生活を或中心へ結び付けさせて行く事が出来るならば、幼児の興味を深からしめ、又幼児の生活を、一層生活として発展させて行く事が出来ます。すなはち此所に誘導の問題が起つて来るのであります。指導だけならば「ああそれかい。それを斯うしようとするのかい。ブランコを漕ぎ度いのかい。絵が書き度いのかい。」と言つてその時その子を指導して居ればいゝのですが、誘導はそれ以上のことです。

1鈴木三重吉
2城戸幡太郎
3橋詰良一
4倉橋惣三
5福沢諭吉

正解 4
「誘導保育」「生活を生活で生活へ」といった倉橋惣三の有名なキーワードと紐付けて、すぐに4を選べるでしょう。
倉橋惣三は日本の児童心理学者で、日本の幼児教育の先駆けとなった東京女子高等師範学校附属幼稚園で主事を務めました。日本のフレーベルとも呼ばれています。

1 鈴木三重吉:日本の児童文化運動の父。「赤い鳥」を創刊。
2 城戸幡太郎:「幼児教育論」「生活技術と教育文化」
3 橋詰良一:家なき幼稚園を開設。露天保育を行いました。
5 福沢諭吉:慶應義塾の創設者。「学問のすすめ」「西洋事情」など

保育原理でも頻出の重要人物ですのでしっかり覚えましょう。

5

次の文のうち、正しいものを○、誤ったものを×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

  • A ソクラテス(Sōkratēs)は、古代ギリシャのアテナイにアカデメイヤをつくった。 
  • B ルソー(Rousseau, J.-J.)は、ノイホーフに貧民のための学校をつくった。
  • C デューイ(Dewey, J.)は、シカゴ大学に実験学校をつくった。
C
1×
2××
3×
4××
5×××

正解 4
A × 誤りです。アテナイにアカデメイアをつくったのは、プラトンです。
B × 誤りです。ノイホーフに貧民のための学校をつくったのはペスタロッチです。
C 〇 記述の通りです。

6

次の文は、教育職員免許状に関する記述である。( A )~( C )にあてはまる語句を【語群】から選択した場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

教育職員の免許状には、大学や短期大学等で教職課程の単位を満たしたのちに都道府県教育委員会に申請して得ることができる( A )免許状、社会的経験を有する者に教育職員検定を経て授与される( B )免許状、そして( A )免許状を有する者を採用することができない場合に限り、教育職員検定を経て授与される( C )免許状がある。

【語群】
ア 代用  イ 特任  ウ 臨時  エ 特別  オ 一般  カ 普通

C
1オ イ ア
2オ イ ウ
3オ エ ア
4カ エ ア
5カ エ ウ

正解 5
教育職員の免許状には、大学や短期大学等で教職課程の単位を満たしたのちに都道府県 教育委員会に申請して得ることができる( A 普通 )免許状、社会的経験を有する者に教育 職員検定を経て授与される( B 特別 )免許状、そして( A 普通 )免許状を有する者を採用 することができない場合に限り、教育職員検定を経て授与される( C 臨時 )免許状がある。

これを機会に教員免許状の種類を知っておきましょう。

7

平成25年6月に閣議決定された「第2期 教育振興基本計画」では、学校におけるICT(Information and Communication Technology)の活用を取り上げている。次の文のうち、適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

  • A 多様で大量の情報を収集、整理・分析することは容易だが、結果をまとめ、表現するには適さない。
  • B 時間や空間を問わずに、音声・画像・データ等を蓄積・送受信でき、時間的・空間的制約を超える。
  • C 距離に関わりなく相互に情報の発信・受信のやりとりができるという、双方向性を有する。
  • D 情報管理が容易なためセキュリティ上の不安はなく、トラブルが発生しにくい。
CD
1××
2××
3××
4××
5××××

正解 3
A × 不適切です。ICTを活用することで情報の収集、整理・分析だけではなく、結果をまとめ、表現することもできます。
B 〇 適切です。
C 〇 適切です。
D × 不適切です。不正アクセスや情報漏洩などの重大な事故を引き起こさないようセキュリティ整備に万全を期す必要があります。

ICTとは「情報通信技術」の略であり、従来の「IT(情報技術)」に「Communication(通信)」が加わった用語です。教育分野では、電子黒板やタブレットパソコン、デジタル教科書などデジタル技術全般が含まれます。

8

次の文は、文部科学省による「教育指標の国際比較」(平成25(2013)年版)に示されたある国の学校制度についての記述である。どの国の記述か、正しいものを一つ選びなさい。

就学前教育について、幼稚園は満3歳からの子どもを受け入れる機関であり、保育所は2歳以下の子どもを受け入れている。
初等教育は、基礎学校において4年間(一部の州は6年間)行われる。
中等教育は、生徒の能力・適性に応じて、ハウプトシューレ(卒業後に就職して職業訓練を受ける者が主として進む。5年制)、実科学校(卒業後に職業教育学校に進む者や中級の職につく者が主として進む。6年制)、ギムナジウム(大学進学希望者が主として進む。8年制又は9年制)が設けられている。

1イタリア
2ドイツ
3スウェーデン
4デンマーク
5オランダ

正解 2
ドイツの学校制度の記述です。
ハウプトシューレやギムナジウムといった名称を聞いたことがあれば「ドイツ」と分かるでしょう。初めて聞く人は、この機会に知りましょう。

9

次の文のうち、「経験カリキュラム」の説明として適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

  • A 学ぶ内容をそれぞれの分野に分けて系統的に教えるように編成している。
  • B 教科ごとに時間割が決められ、学年ごとに習得すべき内容を編成している。
  • C 学習者の活動や体験を中心としながら学びを進めていくように編成している。
  • D 子どもの興味関心とのずれが生じやすく、学習意欲を持続しづらい。
CD
1×
2××
3××
4×××
5×××

正解 5
A × 不適切です。経験カリキュラムではなく、教科カリキュラムの説明です。
B × 不適切です。経験カリキュラムではなく、教科カリキュラムの説明です。
C 〇 適切です。
D × 不適切です。教科カリキュラムに比べて子どもの学習意欲は持続しやすいというのが経験カリキュラムの長所です。

10

次の文は、中央教育審議会答申「新しい時代における教養教育の在り方について」(平成14年2月)の一部である。( A )~( C )にあてはまる語句の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

核家族化、少子化、都市化などが進行し、家族の在り方が大きく変わり、また、地域における地縁的なつながりが希薄化する中で、家庭の教育力や地域社会が従来持っていた教育力が低下してきている。従来は家族や他人との日常のかかわりの中で自然にはぐくまれてきた子どもたちの( A )や規範意識が不足がちになっており、このことが学級崩壊、弱いものに対するいじめや暴力行為などの問題行動の一因とも言われている。
これらの状況に対し、( B )の支援や地域における青少年教育の充実を図る観点から様々な施策が講じられてきたが、現時点では十分な成果があがっているとは言い難い。
(中略)
児童生徒の現状を見ると、数学や理科が好きであるとか、将来これらに関する職業に就きたいと思う者の割合が国際的に低い水準になっているなど、自ら進んで学ぶ意欲や、学ぶことと将来の生き方とを結び付けて考えようとする姿勢に欠ける面が見られるように なった。
このことの背景には、我が国の教育が、形式的な平等を重視する余り、( C )になりがちで、一人一人の多様な個性や能力の伸長という点に必ずしも十分に意を用いてこなかったこと、自ら学び、自ら考える力や、豊かな人間性をはぐくむ教育がおろそかになってきたことなどがある。

1A 積極性B 家庭教育C 集団主義的なもの
2A 社会性B 学校教育C 到達水準を厳密化するもの
3A 社会性B 家庭教育C 到達水準を厳密化するもの
4A 積極性B 学校教育C 画一的なもの
5A 社会性B 家庭教育C 画一的なもの

正解 5
A 社会性 B 家庭教育 C 画一的なもの