平成30年度 保育試験 過去問題
1 | 「児童憲章」は、日本国憲法の精神にしたがい、児童に対する正しい観念を確立し、すべての児童の幸福をはかるために定められた。 |
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2 | 「児童福祉法」には、全て児童は、児童の権利に関する条約の精神にのっとり、適切に養育されることその他の福祉を等しく保障される権利を有することが明記されている。 |
3 | 「児童憲章」には、全て国民は、社会のあらゆる分野において、児童の年齢及び発達の程度に応じて、その意見が尊重されるよう努めなければならないことが明記されている。 |
4 | 「児童福祉法」では、国及び地方公共団体は、児童を家庭及び当該養育環境において養育することが適当でない場合にあっては児童ができる限り良好な家庭的環境において養育されるよう、必要な措置を講じなければならないことが明記されている。 |
5 | 「児童福祉法」には、児童の保護者は、児童を心身ともに健やかに育成することについて第一義的責任を負うことが明記されている。 |
正解 3
1 〇 適切です。
2 〇 適切です。
3 × 不適切です。記述の内容は「児童憲章」ではなく、「児童福祉法」の文言です。「児童福祉法」第2条参照。
4 〇 適切です。
5 〇 適切です。
1 | エレン・ケイ(Key, E.)は、1900年に著した『児童の世紀』において、子どもが教育を受ける権利を享受することによって主体的に育つ可能性を示した。 |
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2 | ルソー(Rousseau, J.-J.)は、1762年に『エミール』において、「子ども期」の重要性を指摘した。 |
3 | アリエス(Ariès, P.)は『<子供>の誕生』において、17世紀までの西欧では、子どもは「小さな大人」として扱われ、労働に従事し、大人との違いは明確に意識されていなかったと主張した。 |
4 | 1601年にイギリスで成立した「エリザベス救貧法」では、子どもは、有能貧民、無能貧民とともに保護の対象であることを示した。 |
5 | 1874年に通達された「恤救規則」では、公的救済の対象を、子どもを除く、家族の扶養を受けられない者とした。 |
正解 5
1 〇 適切です。
2 〇 適切です。
3 〇 適切です。
4 〇 適切です。
5 × 不適切です。「恤救規則」は1874(明治7)年にわが国で初めて成立した貧困者に対する救済法です。対象は無告の窮民に限定されていました。無告の窮民とは、①極質の廃疾者 ②70歳以上の重病もしくは老衰者 ③病気の者 ④13歳以下の者 でありそれぞれ独身で労働能力がないなどのことです。よって13歳以下の孤児も含まれます。
1 | 1997(平成9)年の「児童福祉法」改正で、施設の目的に「入所者の自立の促進のためにその生活を支援すること」を追加し、施設種別の名称が変更された。 |
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2 | 母子が一緒に生活しつつ、共に支援を受けることができる児童福祉施設である。 |
3 | 厚生労働省によると、2016(平成28)年10月1日現在、全国に232箇所が設置されており、3,300世帯が入所していた。 |
4 | 「児童養護施設入所児童等調査結果(平成25年2月1日現在)」(厚生労働省)による と、母子生活支援施設入所世帯の母親の半数以上は就業していたが、就業している母親のうち「常用雇用者」は15%に満たなかった。 |
5 | 「児童養護施設入所児童等調査結果(平成25年2月1日現在)」(厚生労働省)による と、母子世帯になった理由としては「死別」が最も多く、次いで「離別」、「未婚の母」 であった。 |
正解 5
1 〇 適切です。
2 〇 適切です。
3 〇 適切です。
4 〇 適切です。
5 × 不適切です。母子世帯になった理由は、「離別」が58.3%と最も多く、次いで「未婚の母」の14.5%となっています。
ABCDE | |
1 | 〇〇〇〇〇 |
2 | 〇〇××× |
3 | 〇×〇×〇 |
4 | ×〇〇〇× |
5 | ××××〇 |
正解 2
A 〇 適切です。
B 〇 適切です。
C × 不適切です。2014(平成26)年における平均初婚年齢は、男性が31.1歳、女性が29.4歳です。
D × 不適切です。2014(平成26)年における第1子出生時の母の平均年齢は、30.6歳です。
E × 不適切です。「人口推計」(2015年)における65歳以上の高齢者人口は3392万人となり、総人口に占める割合(高齢化率)は26.7%です。よって全人口の3分の1は超えていません。
1 | A 知的B 主張C 養護 |
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2 | A 知的B 権利C 生活条件 |
3 | A 社会的B 意見C 養護 |
4 | A 社会的B 権利C 生活条件 |
5 | A 社会的B 意見C 生活条件 |
正解 4
1 締約国は、児童の身体的、精神的、道徳的及び( A 社会的 )な発達のための相当な生活水準についてのすべての児童の( B 権利 )を認める。
2 父母又は児童について責任を有する他の者は、自己の能力及び資力の範囲内で、児童の発達に必要な( C 生活条件 )を確保することについての第一義的な責任を有する。
ABCD | |
1 | 〇×〇× |
2 | 〇××〇 |
3 | ×〇〇× |
4 | ×〇×× |
5 | ××〇〇 |
正解 3
A × 不適切です。「特別児童扶養手当等の支給に関する法律」は、精神や身体に1級か2級の障害のある20歳未満の子どもを家庭で監督、保護している父母ら養育者に支給されます。
B 〇 適切です。
C 〇 適切です。
D × 不適切です。「発達障害者支援法」には、発達障害児支援についての規定もあります。
ABCDE | |
1 | 〇〇〇〇〇 |
2 | 〇〇〇×〇 |
3 | 〇××〇× |
4 | ×〇〇×〇 |
5 | ×〇×〇× |
正解 2
A 〇 記述の通りです。
B 〇 記述の通りです。
C 〇 記述の通りです。
D × 誤りです。「事業所併設型」という認定こども園はありません。
E 〇 記述の通りです。
1 | 自立援助ホームは、「児童福祉法」に規定された児童自立生活援助事業を行う施設である。 |
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2 | 厚生労働省子ども家庭局家庭福祉課の調べによると、平成28年10月1日現在、児童自立生活援助事業を行う施設は、全国に約140か所設置されている。 |
3 | 児童自立生活援助事業の対象者には、児童養護施設の対象となる18歳未満の児童は含まれない。 |
4 | 「児童養護施設入所児童等調査結果(平成25年2月1日現在)」(厚生労働省)では、 自立援助ホーム入所児の6割以上に被虐待経験があった。 |
5 | 「児童養護施設入所児童等調査結果(平成25年2月1日現在)」(厚生労働省)では、 自立援助ホーム入所児の保護者の状況について、「両親ともいない」、「両親とも不明」が、合わせて約3割であった。 |
正解 3
1 〇 適切です。
2 〇 適切です。
3 × 不適切です。児童自立生活援助事業の対象は、義務教育を修了した15歳~20歳までの家庭がない児童や、家庭にいることができない児童、または児童以外の満20歳に満たない者(大学等就学中の者は22歳の年度末まで延長可)です。
※資料集「平成28年児童福祉法改正の概要」を確認しましょう。
4 〇 適切です。
5 〇 適切です。
1 | A 知的障害B 身体虚弱 |
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2 | A 知的障害B 広汎性発達障害 |
3 | A 身体虚弱B 知的障害 |
4 | A 身体虚弱B ADHD |
5 | A LD(学習障害)B 知的障害 |
正解 2
児童養護施設では「知的障害」、児童心理治療施設では「ADHD(注意欠如・多動症)」「広汎性発達障害」、乳児院では「身体虚弱」、ファミリーホーム児では「LD(学習障害)」が多いという結果でした。
・ (a)弁護士
・ (b)医師
・ 社会福祉主事として、(c)2年以上児童福祉事業に従事した者
・ 学校教育法に基づく大学又は旧大学令に基づく大学において、心理学を専修する学科又はこれらに相当する課程を修めて卒業した者であって、厚生労働省令で定める施設において(d)1年以上児童その他の者の福祉に関する相談に応じ、助言、指導その他の援助を行う業務に従事したもの
・ 都道府県知事の指定する児童福祉司若しくは児童福祉施設の職員を養成する学校その他の施設を卒業し、(e)又は都道府県知事の指定する講習会の課程を修了した者
abcde | |
1 | 〇〇〇〇× |
2 | 〇〇××× |
3 | ×〇〇〇〇 |
4 | ××〇×〇 |
5 | ××××〇 |
正解 3
a × 誤りです。「弁護士」ではなく「社会福祉士」です。
b 〇 記述の通りです。
c 〇 記述の通りです。
d 〇 記述の通りです。
e 〇 記述の通りです。
1 | 本事業の「特定型」では、虐待を受けている子どもをはじめとする養護児童の早期発見や適切な保護を図ることを主な目的とする。 |
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2 | 本事業の「基本型」では、子ども及びその保護者等が、教育・保育施設や地域の子育て支援事業等を円滑に利用できるよう、身近な場所において、当事者目線の寄り添い型の支援を実施する。 |
3 | 地域子ども・子育て支援事業の一つである。 |
4 | 本事業の実施主体は、市町村(特別区及び一部事務組合を含む)である。 |
5 | 本事業の内容には、関係機関との連絡・調整、連携、協働の体制づくりを行うとともに、地域の子育て資源の育成、地域課題の発見・共有、地域で必要な社会資源の開発等 に努めることも含まれる。 |
正解 1
1 × 不適切です。利用者支援事業には「基本型」「特定型」「母子保健型」があります。「特定型」はいわゆる保育コンシェルジュのことで、主として市区町村の窓口で、子育て家庭等から保育サービスに関する相談に応じ、地域における保育所や各種の保育サービスに関する情報提供や利用に向けての支援などを行います。
2 〇 適切です。
3 〇 適切です。
4 〇 適切です。
5 〇 適切です。
ABCDE | |
1 | 〇〇〇×〇 |
2 | 〇〇×〇× |
3 | 〇×〇×〇 |
4 | ××〇〇× |
5 | ×××〇〇 |
正解 3
A 〇 記述の通りです。
B × 誤りです。「児童厚生施設を経営する事業」は、第二種社会福祉事業です。
C 〇 記述の通りです。
D × 誤りです。「障害児通所支援事業」は、第二種社会福祉事業です。
E 〇 記述の通りです。
第一種社会福祉事業は、主として入所施設サービス+共同募金、第二種社会福祉事業は、主として在宅・通所サービスです。
1 | A B |
---|---|
2 | A D |
3 | B C |
4 | B D |
5 | C D |
正解 1
A × 不適切です。放課後児童健全育成事業は、「小学校に就学している児童」が対象です。
B × 不適切です。2015(平成27)年における放課後児童クラブ登録児童数は1,024,635人です。待機児童数は16,941人ですので記述通りです。
C 〇 適切です。
D 〇 適切です。
A B C D | |
1 | ア イ ウ エ |
2 | ア ウ イ エ |
3 | ア エ ウ イ |
4 | ウ イ エ ア |
5 | ウ エ ア イ |
正解 3
市町村において保育所を経路した児童虐待の対応件数は( A ア 身体的虐待 )、( B エ 保護の怠慢・拒否(ネグレクト))、( C ウ 心理的虐待 )、( D イ 性的虐待 )の順となっています。
児童相談所における児童虐待の対応件数は、心理的虐待、身体的虐待、保護の怠慢・拒否。性的虐待の順となっています。
A B C D | |
1 | ウ ア イ エ |
2 | ウ ア エ イ |
3 | ウ イ エ ア |
4 | エ イ ア ウ |
5 | エ ウ ア イ |
正解 2
狭義の領域としては、保健、医療、福祉の( A )間連携であり、広義には( B )はもとより家族、近隣、( C )などの( D )および生活関連資源の連携までを含める。また、その連携は、既存の主体や社会資源間だけでなく、( E )の利益に必要な支援を開発、創造することを含んだ連携のあり方である。
A B C D E | |
1 | ア オ イ エ イ |
2 | イ エ ア ウ オ |
3 | ウ ア エ イ オ |
4 | エ ウ イ ア ア |
5 | オ イ ア ウ イ |
正解 5
狭義の領域としては、保健、医療、福祉の( A オ 専門職 )間連携であり、広義には( B イ クライエント )はもとより家族、近隣、( C ア ボランティア )などの( D ウ インフォーマル・サポート )および生活関連資源の連携までを含める。また、その連携は、既存の主体や社会資源間だけでなく、( E イ クライエント )の利益に必要な支援を開発、創造することを含んだ連携のあり方である。
【事例】
保育所の5歳児クラスを担当するY保育士は、着替え中にX君の腕や足、身体に多くのあざがあることを発見した。X君に尋ねると、「いつもお父さんは酔っぱらっていて、叩いたり、蹴ったりする。」と答えたが、すぐに「お父さんとお母さんには言わないで!絶対だよ。」と泣きながら必死に訴えた。
【設問】
次の文のうち、Y保育士の対応として適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
A 児童虐待の通告には本人の同意が必要なので、X君に同意を得てから通告する。
B 所長や主任保育士に相談し、すぐに保育所内において職員同士の情報共有を図る。
C すぐにX君の両親に連絡し、保育所に呼び出した上で、「子どもを叩いたり蹴ったりするのはいけないことだ。」と厳しく指導する。
D 保育士の守秘義務に基づき、児童相談所などには通告せず、X君の様子を見守る。
ABCD | |
1 | 〇〇〇〇 |
2 | 〇〇×× |
3 | ×〇×× |
4 | ××〇× |
5 | ×××〇 |
正解 3
A × 不適切です。児童虐待の通告に本人の同意は必要ではありません。
B 〇 適切です。
C × 不適切です。児童虐待の疑いがある場合、両親に指導することよりも通告を優先します。
D × 不適切です。虐待を受けた児童を発見した場合に、児童福祉法第25条の規定により通告を行うことは、守秘義務違反にあたりません。「児童虐待の防止等に関する法律」第6条第3項参照。
【事例】
保育所の4歳児クラスに通うZちゃんは、他の子どもと比べて言葉の発達が遅く、また、 とてもおとなしい性格である。家庭や保育所でのトイレット・トレーニングがなかなか進まず、たまに排泄を失敗することがある。また、オムツをして登園したことがあったことから、最近、同じクラスの子どもたちにからかわれることがあった。
【設問】
次のうち、担当保育士の対応として不適切な記述を一つ選びなさい。
1 | トイレのことをからかう子どもたちに対し、保育士はZちゃんの抱く悲しい気持ちや嫌な気持ちを想像するよう伝えた。 |
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2 | Zちゃんの言葉の状況については、その発達の状況を見守りながら記録し、保護者の不安に対応できるよう準備した。 |
3 | 保育士が仲立ちとなったり、一緒に遊んだりするなど、Zちゃんとクラスの子どもたちが一緒に楽しむ経験を多く積めるように援助した。 |
4 | 排泄のタイミングをうまく伝えられないZちゃんの表情や言動を注意深く観察し、排泄のサインを見逃さないように気をつけ、トイレに行くことを促すようにした。 |
5 | 保護者に対して、すぐに医療機関を受診するように指示した。 |
正解 5
1 〇 適切です。
2 〇 適切です。
3 〇 適切です。
4 〇 適切です。
5 × 不適切です。4歳という年齢を考えるとたまに排泄を失敗することは、すぐに医療機関の受診するほどのことではありません。
1 | 「少年法」は、少年の健全な育成を期し、非行のある少年に対して性格の矯正及び環境の調整に関する保護処分を行うとともに、少年の刑事事件について特別の措置を講ずることを目的とする。 |
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2 | 「平成28年版 犯罪白書」(法務省)によると、少年による刑法犯の検挙人員は近年増加の一途をたどっている。 |
3 | 「少年法」における「少年」とは、20歳に満たないものを指す。 |
4 | 「平成28年版 犯罪白書」(法務省)によると、平成27年の触法少年の補導人員は、1万人に満たなかった。 |
5 | 「平成28年版 犯罪白書」(法務省)によると、平成27年の少年による刑法犯の検挙人数の人口比は、成人の刑法犯の検挙人数の人口比よりも高い。 |
正解 2
1 〇 適切です。
2 × 不適切です。少年による刑法犯の検挙人員は、2004(平成16)年から毎年減少しています。
3 〇 適切です。
4 〇 適切です。
5 〇 適切です。
1 | 心中以外の虐待死では、死亡した子どもの年齢として0歳が最も多かった。 |
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2 | 心中以外の虐待死では、主たる加害者は「実母」が最も多く、6割を超えていた。 |
3 | 心中以外の虐待死における加害の動機としては、「子どもの存在の拒否・否定」が最も多く、3割以上を占めた。 |
4 | 心中以外の虐待死において、児童相談所や市町村の関与があった事例は1割未満であった。 |
5 | 心中による虐待死(未遂を含む)における加害者の動機としては「保護者自身の精神疾患、精神不安」が約6割を占めた。 |
正解 4
1 〇 適切です。
2 〇 適切です。
3 〇 適切です。
4 × 不適切です。児童相談所や市町村の関与があった事例は25.6%、市町村(虐待対応担当部署)の関与があった事例は27.9%でした。
5 〇 適切です。