平成30年度 保育試験 過去問題
ブロンフェンブレンナー(Bronfenbrenner, U.)は、生態学的システム論において、人が日常生活で直接・間接に関わりをもつ社会的文脈を、入れ子状の多層モデルとして示した。一人の子どもを中心とすると、第1層は、子どもと親の関係、子どもときょうだ いとの関係、子どもと保育士との関係などがあげられ、(A マイクロシステム)と呼んでいる。第2層の(B エクソシステム)では、子どもが保育所に通っているならば家 庭と保育所、子どもが小学校に通っているならば家庭と小学校との関係などを示している。第3層の(C メゾシステム)では、親の職業・職場、きょうだいの通う小学校などがあげられている。第4層は(D マクロシステム)と呼び、信念体系、価値観、法律、文化などの社会的文脈が第1層から第3層を取り囲んでいる。
ABCD | |
1 | 〇〇〇× |
2 | 〇×〇× |
3 | 〇××〇 |
4 | ×〇〇〇 |
5 | ×〇×× |
正解 3
A 〇 記述の通りです。
B × 誤りです。エクソシステムではなく、メゾシステムです。
C × 誤りです。メゾシステムではなく、エクソシステムです。
D 〇 記述の通りです。
テキストで学習した内容は、確実に解きましょう。
A B C D | |
1 | ア イ ウ エ |
2 | イ ア ウ エ |
3 | イ エ ア ウ |
4 | ウ ア イ エ |
5 | ウ エ イ ア |
正解 2
ABCD | |
1 | 〇〇〇〇 |
2 | 〇〇×× |
3 | 〇×〇× |
4 | ×〇×〇 |
5 | ×××× |
正解 3
A 〇 適切です。
B × 不適切です。子ども同士のトラブルに対して、「どのような場合も」という記述が誤りです。基本的には見守ることが大切です。そして、状況に合わせて対処方法を変えていくことにより、子どもにとってプラスの効果を与えることができるでしょう。
C 〇 適切です。
D × 不適切です。5歳頃であっても、子どもだけでは解決が難しければ保育士が直接的に関与することもあります。
説明
ジェンセン(Jensen, A.R.)は、心身の諸特質の( ア )が顕在化するのに必要な ( イ )の質や量は、その特性によってそれぞれ違いがあり、各特性に固有な一定の水準(閾値)があるという見解を述べている。その見解によると特性Aは、極端に不適 切な環境でないかぎり、ほぼ完全に発達の可能性が現れる。特性Bは、( ウ )などがこれにあたり、中程度の環境条件が閾値となるものである。特性Cは、環境条件にほぼ比例して発達の可能性が顕在化するもので、( エ )などがこれに当たる。特性Dは、きわめて可能性が好適的な環境条件や特別な教育訓練によって、はじめて顕在化するものである。
1 | ア 遺伝的可能性イ 環境条件ウ 学業成績エ 知能検査の成績 |
---|---|
2 | ア 遺伝的可能性イ 相互作用ウ 知能検査の成績エ 学業成績 |
3 | ア 環境条件イ 相互作用ウ 知能検査の成績エ 学業成績 |
4 | ア 遺伝的可能性イ 環境条件ウ 知能検査の成績エ 学業成績 |
5 | ア 環境条件イ 相互作用ウ 学業成績エ 知能検査の成績 |
正解 4
「環境閾値説」とは「発達は、特性によって環境条件の働き方が異なり、遺伝的な特性が発現するかどうかは、環境条件が、特性ごとに決まっている閾値(一定の水準)を超えるかどうかによる」という考え方です。
解説図は、環境条件と特性が現れる関係を示しています。具体的には、特性Aは身長や体重、特性Bは知能検査の成績、特性Cは学業成績、特性Dは絶対音感や外国語の音韻の弁別がこれにあたります。
ジェンセン(Jensen,A.R)は、心身の諸特質の( ア 遺伝的可能性 )が顕在化するのに必要な( イ 環境条件 )の質や量は、その特性によってそれぞれ違いがあり、各特性に固有な一定の水準(閾値)があるという見解を述べている。その見解によると特性Aは、極端に不適切な環境でないかぎり、ほぼ完全に発達の可能性が現れる。特性Bは、( ウ 知能検査の成績 )などがこれにあたり、中程度の環境状況が閾値となるものである。特性Cは、環境条件にほぼ比例して発達の可能性が顕在化するもので、( エ 学業成績 )などがこれに当たる。特性Dは、きわめて可能性が好適的な環境条件や特別な教育訓練によって、はじめて顕在化するものである。
1 | A 歩行B ク―イングC アニミズムD 怒り |
---|---|
2 | A 歩行B 喃語C アニミズムD 恥 |
3 | A 座位B 喃語C アニミズムD 怒り |
4 | A 歩行B 喃語C 物の永続性D 怒り |
5 | A 座位B ク―イングC 物の永続性D 恥 |
正解 4
・( A 歩行 )ができるようになると、自らの意思で自由に探索行動をするようになる。
・舌、唇、あごの筋肉を協調して動かすことができるようになると、( B 喃語 )が出現する。
・( C 物の永続性 )を獲得すると、遊んでいたおもちゃを隠されて見えなくても存在していることを理解している。
・快・不快の表出から、次第に、喜び、悲しみ、嫌悪、( D 怒り )など、感情表出が豊かになる。
A B C | |
1 | ウ ア オ |
2 | ウ エ イ |
3 | エ ア イ |
4 | エ イ ウ |
5 | オ エ ウ |
正解 2
A ウ 第1次循環反応(3~6か月頃)… 首ふりや、手の開閉、同じ声を繰り返しだすなどといった、自分の身体に限った感覚運動の繰り返しのことを指します。
B エ 第2次循環反応(6~12か月頃)… シーツの端を繰り返しめくってみたり、ガラガラを繰り返し振るなどといった、ものを取り入れた繰り返しのことを指します。
C イ 第3次循環反応(1歳~1歳半頃)… 試行錯誤的に因果関係、空間関係を調べてみる実験をしながら事物、事象の性質を探索することを指します。
アは物の永続性について、オは追視についての記述です。
A B C D | |
1 | イ ア エ オ |
2 | イ ア カ エ |
3 | オ ア ウ カ |
4 | オ イ ア ウ |
5 | オ イ エ カ |
正解 3
パーテンが提唱した「遊びの分類(発達)」についての出題です。
A 記述は模倣についてです。
B 記述は協同遊びについてです。
C 記述は平行遊びについてです。
D 記述は傍観者的行動についてです。
イの連合遊びは他の子供とおもちゃのやりとりをして、同じようなおもちゃで遊ぶ状態。エのひとり遊びは友達と関わらずに一人だけで遊ぶ状態をいいます。
ABCD | |
1 | 〇〇〇〇 |
2 | 〇〇×× |
3 | 〇×〇× |
4 | ×〇×〇 |
5 | ××〇〇 |
正解 3
A 〇 適切です。
B × 不適切です。自閉症スペクトラム障害などをはじめとする発達障害の子どもは、「心の理論」の獲得に困難を示し、正解率が年齢に対して低いと言われています。
C 〇 適切です。
D × 不適切です。心の理論の獲得をテストする誤信念課題を正答できるのは4歳以降と推測されています。
有名な誤信念課題の「サリーとアン課題」がテキストに載っているので確認しておきましょう。
ABCD | |
1 | 〇〇〇× |
2 | 〇〇×× |
3 | 〇××〇 |
4 | ×〇×〇 |
5 | ××〇〇 |
正解 5
A × 不適切です。「20世紀初めに広がった」という記述は誤りです。
B × 不適切です。「できた」「できない」で発達を捉えるのが能力論的発達観で、「できることをやろうとする」「できないけれどやろうとする」は行為論的発達観です。
C 〇 適切です。
D 〇 適切です。
生後9~10か月頃になると、乳児の認識世界には大きな変化が現れる。乳児を抱いている
母親が「ワンワンだね」と指し示すと、乳児は犬に視線を向ける。また、棚の上のおもちゃがほしい時に「アーアー」と言いながら身振りで母親に伝えようとする。
【設問】
次の心理学用語のうち、この記述に示されているものを○、そうでないものを×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
A 三項関係
B 共同注意
C 共鳴動作
D 情動調整
ABCD | |
1 | 〇〇〇× |
2 | 〇〇×× |
3 | 〇×〇〇 |
4 | ×〇×〇 |
5 | ××〇〇 |
正解 2
A 〇 記述の通りです。
B 〇 記述の通りです。
C × 誤りです。共鳴動作とは、乳児が大人の動作にあわせて同調的・共鳴的にそれを反復すること、意識し意図することなく模倣することをいいます。
D × 誤りです。情動は明確な原因によって引き起こされる強い感情のことです。情動調整とは、情動をコントロール(調整)することをいいます。
長期縦断研究によって、自分の乳幼児期の親との関係性の質が、自分が親になった時の子
どもとの関係性の質に一定程度、影響を及ぼすことが明らかになってきた。しかしその一方で、乳幼児期に望ましい親子関係を形成することができなかったとしても、適切で継続的なキーパーソンの存在によって、その後の人生において安定的な関係性を築くこともあることが示されている。
A インクルージョン
B レジリエンス
C アタッチメント(愛着)
D ソーシャル・アクション
ABCD | |
1 | 〇〇〇× |
2 | 〇××〇 |
3 | ×〇〇〇 |
4 | ×〇〇× |
5 | ××〇〇 |
正解 4
A × 誤りです。インクルージョンは、包括、包含、一体性という意味があります。障害児も健常児も分け隔てなく通常学級で共に学ぶ仕組みをインクルージョン教育(インクルーシブ教育)といいます。
B 〇 記述の通りです。レジリエンスとは、「回復力」「復元力」あるいは「弾力性」とも訳される言葉ですが、精神医学・心理学用語では「ストレスや逆境に直面したとき、それに対応し、克服していく能力」をいいます。
C 〇 記述の通りです。
D × 誤りです。ソーシャル・アクションとは、世論を喚起するなどして立法・行政機関に働きかけ、政策・制度の改善をめざす組織行動をいいます。
【事例】
P君(5歳、男児)は、電車のおもちゃで遊んでいる。まず、(a)緑色の電車とオレンジ色の電車に分けて置いた。次に、(b)先頭を揃えて同じ色の電車をつなぎ、一番うしろが揃っていないことをしばらく見比べていた。そして、(c)一台ずつ指でおさえながら、緑色の電車を「いち、にぃ、さん、よん。」と声を出して数えた。続けてオレンジ色の電車を「いち、にぃ、さん、よん、ご。」と数えた。 (d)「オレンジでんしゃは、ごこ。」と嬉しそうに言った。
【設問】
(a)~(d)の下線部分に関連する語句を、【語群】から選択した場合の最も適切な組み合わせを一つ選びなさい。
a b c d | |
1 | イ ウ オ キ |
2 | イ ウ カ ク |
3 | エ ア オ ク |
4 | エ ア カ ク |
5 | エ ウ オ キ |
正解 1
a イ 電車を色別に分けているので、「分類の理解」です。
b ウ それぞれの電車の列を見比べているので、「長さの理解」です。
c オ それぞれの色の電車の数を数えているので、「計数」です。
d キ 緑色とオレンジ色の電車全部の台数を数え、オレンジ色の電車の数が全体(集合数)で5個と言っているので、「集合数の理解」です。
青年期を( A )の時代と呼んだ。この用語は、( B )やある種の社会的責任に猶予が認められる期間の意味で用いられている。この期間に青年は職業生活に必要な知識や技術を獲得するだけでなく、内省力が増し、自分を見つめ、積極的に( C )を行い、( D )の確立を模索するといわれている。
A B C D | |
1 | ア エ オ ク |
2 | イ ク ア エ |
3 | カ エ ウ イ |
4 | キ ク ア オ |
5 | キ ク ウ イ |
正解 5
青年期を( A モラトリアム )の時代と呼んだ。この用語は、( B 経済的自立 )やある種の社会的責任に猶予が認められる期間の意味で用いられている。この期間に青年は職業生活に必要な知識や技術を獲得するだけでなく、内省力が増し、自分を見つめ、積極的に( C 社会的役割実験 )を行い、( D アイデンティティ )の確立を模索するといわれている。
ABCD | |
1 | 〇〇〇〇 |
2 | 〇〇×× |
3 | 〇××〇 |
4 | ×〇〇× |
5 | ××〇× |
正解 3
A 〇 適切です。
B × 不適切です。3歳以上の子どもには午睡が必要な子もいれば、必要ではない子いるため、保育士がそれぞれ個別の対応をする方が望ましいです。
C × 不適切です。子どもの生活リズムの個人差を配慮することは必要ですが、ランチルームや午睡室の設置義務はありません。
D 〇 適切です。
【設問】
保育士の指導のもとに子どもたちが一斉に活動する場面で、クラスの子どもに期待されることとして、最も不適切な記述を一つ選びなさい。
1 | 黙って、感情を出さずにじっとしていることを身に付ける。 |
---|---|
2 | 保育士の話は自分だけに向けられているのではないことに気づく。 |
3 | 朝の会、給食などには、それぞれの手順があることを知る。 |
4 | 場面に応じた話し方があることを子ども自身の発表経験などを通して知る。 |
5 | 一対多のコミュニケーションが、一対一のコミュニケーションと異なることを経験する。 |
正解 1
「黙って、感情を出さずにじっとしていることを身に付ける」ことが誤りです。
「保育所保育指針」第2章「保育の内容」3「3歳以上児の保育に関するねらい及び内容」エ・オ参照。
説明
平成19年と平成25年において、最も高いのは5割以上の「( A )」であり、家族の最も基本的機能についての年代の大きな変化はみられない。「夫または妻との愛情をはぐくむ」、「( B )」、「経済的に支え合う」は平成19年に比べ平成25年は、それぞれ10ポイント前後高い。「( C )」は最も減少しており、保育所における役割が増しているといえる。
A B C | |
1 | ア イ ウ |
2 | ア ウ イ |
3 | イ ア ウ |
4 | イ ウ ア |
5 | ウ ア イ |
正解 1
平成19年と平成25年において、最も高いのは5割以上の「( A ア 生活面でお互いに協力し助け合う )」であり、家族の最も基本的機能についての年代の大きな変化はみられない。「夫または妻との愛情をはぐくむ」、「 (B イ 子どもを生み、育てる )」、「経済的に支えあう」は平成19年に比べ平成25年は、それぞれ10ポイント前後高い。「( C ウ 基本的な生活習慣や礼儀作法を身につける )」は最も減少しており、保育所における役割が増しているといえる。
【事例】
1歳11か月の男児。1週間前から保育所に入所した。入所前は、母親が自宅で養育していた。入所初日からためらいもなく、どの職員にも接近してベタベタと身体的接触をし、職員室についていくなどの行動が目立った。その行動特徴は、入所1週間一貫して観察された。この男児には、こだわり行動や言葉の遅れはなく、相互的に保育士と遊ぶことはできた。
【設問】
この子どもと家族に対して保育士として行うべき対応について、適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
A 初めての入所であるため、多くの大人に接近し状況に適応しようとしていると捉え、 この男児を温かく見守る。
B 人見知りが少ないことを、他の子どもに比べて成長が早いと、肯定的に母親に伝える。
C お迎えの時の母親に対する男児の行動などをよく観察する。
D 児童相談所などの虐待通報機関に通報を行うかを保育所全体で検討する。
ABCD | |
1 | 〇〇〇〇 |
2 | 〇〇×〇 |
3 | 〇×〇× |
4 | ×〇×× |
5 | ××〇〇 |
正解 5
A × 不適切です。どの職員にも接近してベタベタとくっつく様子から脱抑制型愛着障害の可能性もふまえて、温かく見守るだけでなく適切な対応をすることが求められます。
B × 不適切です。他の子どもと比べて成長が早い、遅いと母親に伝えることは、適切な対応ではありません。
C 〇 適切です。
D 〇 適切です。
ABCD | |
1 | 〇〇×〇 |
2 | 〇〇×× |
3 | 〇×〇× |
4 | ×〇〇〇 |
5 | ××〇× |
正解 3
A 〇 適切です。
B × 不適切です。個人情報が入った配布資料を持ち帰ることは、個人情報の保護の観点から適切な対応ではありません。
C 〇 適切です。
D × 不適切です。医療機関に入所児の病気について医療機関に問い合わせる場合は、あらかじめ保護者の同意が必要です。
ABCD | |
1 | 〇〇×〇 |
2 | 〇×〇× |
3 | ×〇〇× |
4 | ×〇×〇 |
5 | ××〇× |
正解 2
A 〇 適切です。
B × 不適切です。「保護者を強く叱責」することは適切ではありません。保育士は保護者の自己決定を尊重し、保護者の状況を踏まえた支援やアドバイスを行なう必要があります。
「保育所保育指針」第4章「子育て支援」1「保育所における子育て支援に関する基本的事項」(1)、2「保育所を利用している保護者に対する子育て支援」(2)参照。
C 〇 適切です。
D × 不適切です。小学校との連携は必要ですが、「保育所で小学校1年生の学習参考書を取り寄せ学習」させることは適切ではありません。
「保育所保育指針」第2章「保育の内容」4「保育の実施に関して留意すべき事項」(2)「小学校との連携」参照。
ABCDE | |
1 | 〇〇〇〇× |
2 | 〇×〇×〇 |
3 | 〇××〇× |
4 | ×〇〇×× |
5 | ×××〇〇 |
正解 3
A 〇 適切です。
B × 不適切です。病気や経済的理由による長期欠席は不登校に含まれません。
C × 不適切です。記述の調査において、不登校の要因で最も多いのは「いじめ」ではなく、「家庭に係る状況」です。
D 〇 適切です。
E × 不適切です。記述の調査において、「20歳現在の就学・就業状況」は「就業のみ 34.5%」、「就学のみ 27.8%」、「就学・就業 19.6%」、「非就学・非就業18.1%」なので、10%を超えています。