令和3年度 保育試験 過去問題
生まれて間もない新生児期において、( A )とムーア(Moore, M.K.)は、視覚的に捉えた相手の顔の表情を、視覚的に捉えられない自己の顔の表情に写しとること、たとえば、「舌の突き出し」や「口の開閉」など、他者の顔の表情をいくつか模倣できることを示した。
ピアジェ(Piaget, J.)は、観察した他者の動作を直後に再現することを( B )、目の前には存在しなくても以前に見た他者の動作を再現することを( C )と呼んだ。( C )では、他者の行為をある期間、記憶を保持し、それを自分の中にイメージできる( D )能力が必要となり、これは( E )遊びにも必要な能力である。
ABCDE | |
1 | アオエウカ |
2 | アクオキカ |
3 | イエオウカ |
4 | イオクウケ |
5 | イクエキケ |
正解 2
生まれて間もない新生児期において、( A ア メルツォフ(Meltzoff, A.N.) )とムーア(Moore, M.K.)は、視覚的に捉えた相手の顔の表情を、視覚的に捉えられない自己の顔の表情に写しとること、たとえば、「舌の突き出し」や「口の開閉」など、他者の顔の表情をいくつか模倣できることを示した。
ピアジェ(Piaget, J.)は、観察した他者の動作を直後に再現することを( B ク 即時模倣 )、目の前には存在しなくても以前に見た他者の動作を再現することを( C オ 延滞模倣 )と呼んだ。( C オ 延滞模倣 )では、他者の行為をある期間、記憶を保持し、それを自分の中にイメージできる( D キ 表象 )能力が必要となり、これは( E カ 象徴 )遊びにも必要な能力である。
ABCD | |
1 | 〇〇〇〇 |
2 | 〇〇×× |
3 | 〇×〇× |
4 | ×〇×× |
5 | ××〇〇 |
正解 5
A × 不適切です。「6か月不安」ではなく、「8か月不安」です。
B × 不適切です。「社会的統制」ではなく、「社会的参照」です。
C 〇 適切です。
D 〇 適切です。
【事例】
6歳児に「バッタに餌を1日に 10 回あげるとどうなるか」と質問したところ、「バッタはね、目がまわって死んじゃう。バッタは虫だけど、そこは人間と同じだから」と答えた。
【設問】
次のうち、【事例】に関連するものとして、適切なものを○、不適切なものを×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
A ピアジェ(Piaget, J.)によると、子どもの考え方は、人間以外の生物に人間の特徴を拡張して適用するアニミズムを表している。
B 子どもの考え方は、生物を理解するのに役立つので、大人は尊重しつつ、同時にその限界を補う配慮をする。
C 子どもの考え方は、比較的豊かに持っている人間についての知識を基にして、人間以外の生物に対して類推している。
D 子どもの考え方は、直接経験を通して得られた印象に基づいて対象を把握する生活概念を示しているが、その後、何らかの構造や原理との関係で対象を把握する科学的概念を持つようになる。
ABCD | |
1 | 〇〇〇× |
2 | 〇〇×× |
3 | ×〇〇〇 |
4 | ××〇× |
5 | ×××〇 |
正解 3
A × 不適切です。アニミズムとは、一般的には生物、無生物を問わず全ての物の中に霊魂もしくは霊が宿っているという考え方です。
B 〇 適切です。
C 〇 適切です。
D 〇 適切です。
ABCD | |
1 | 〇〇〇× |
2 | 〇〇×× |
3 | ××〇〇 |
4 | ××〇× |
5 | ×××〇 |
正解 1
A 〇 適切です。
B 〇 適切です。
C 〇 適切です。
D × 不適切です。設問は、クーイングについてです。
※規準喃語は生後6~8か月頃に見られる複数の音節から成り、「子音+母音」の構造を持つ喃語のことです。例)ばーばーば
1 | A:エピソード記憶B:同時処理C:記憶の再認D:レスポンデント |
---|---|
2 | A:エピソード記憶B:短期記憶C:記憶の再生D:リハーサル |
3 | A:潜在記憶B:同時処理C:記憶の再認D:レスポンデント |
4 | A:潜在記憶B:同時処理C:記憶の再生D:レスポンデント |
5 | A:潜在記憶B:短期記憶C:記憶の再生D:リハーサル |
正解 2
A-エピソード記憶
B-短期記憶
C-記憶の再生
D-リハーサル
【事例】
5歳児クラスで、Mちゃん、Nちゃんがおままごとをしていた。料理を作り、お皿の上に並べているところに、他の遊びをしていたJちゃんが来て、「お皿を貸して」と言った。Mちゃんがすぐに「ダメ、使っているから」と断った。それを聞いたJちゃんが、「えー、私たちも今、使いたいのに。少しくらい貸してよ」と言った。その様子を見ていたNちゃんが、「少しなら持って行っていいよ」と言い、Mちゃんも使っていないお皿を探して、Jちゃんに渡した。
【設問】
【事例】を説明する記述として( A )~( D )にあてはまる用語を【語群】から選択した場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
Jちゃんは、( A )を理解しているため、お皿を黙って取らずに、「お皿を貸して」と言えた。Mちゃんに断られたJちゃんは、「私たちも使いたい」と( B )をしていた。Jちゃんの言うことを耳にして、Nちゃんはお皿を持っていくことを許可した。その様子を見たMちゃんは、( C )をしてお皿を貸していた。このようなやり取りの中で、保育者が介入しなくても、子どもたちが自分たちで問題を解決できるような( D )が育まれていく。
ABCD | |
1 | アウエカ |
2 | アオウキ |
3 | イウオカ |
4 | イオウキ |
5 | イオエカ |
正解 5
Jちゃんは、( A イ 社会的規範 )を理解しているため、お皿を黙って取らずに、「お皿を貸して」と言えた。Mちゃんに断られたJちゃんは、「私たちも使いたい」と( B オ 自己主張 )をしていた。Jちゃんの言うことを耳にして、Nちゃんはお皿を持っていくことを許可した。その様子を見たMちゃんは、( C エ 自己抑制 )をしてお皿を貸していた。このようなやり取りの中で、保育者が介入しなくても、子どもたちが自分たちで問題を解決できるような( D カ 社会的スキル )が育まれていく。
ABCD | |
1 | 〇〇〇〇 |
2 | 〇〇×〇 |
3 | 〇×〇× |
4 | ×〇×× |
5 | ××〇〇 |
正解 4
A × 不適切です。「5次元」ではなく、「9次元」です。トマスとチェスは、子どもの気質を9つの特性で分類し、「扱いやすい子」「扱いにくい子」「立ちあがりが遅い子」の3タイプに分類しました。
B 〇 適切です。
C × 不適切です。「約10%」ではなく、「約40%」です。この調査結果では「平均的な子」が35%、「扱いやすい子」が40%で、残りの25%が「扱いにくい子」または「順応が遅い子」となっています。
D × 不適切です。トマスらは、気質は変化しうるものであり、乳児期と青年期との関連性は極めて弱いとしている。
ピアジェ(Piaget, J.)は、子どもが世界を認識する過程には、( A )に異なる4つの段階があると考えた。まず、誕生から2歳頃までは「感覚運動期」と呼ばれ、子どもは身近な環境に身体の感覚や動作を通して関わり、外界を知っていく。次に、2~7歳頃は「( B )」と呼ばれ、イメージや言葉を用いて世界を捉えることが可能になるが、物の見かけに捉われやすく論理的な思考には至らない。学童期に相当する「( C )」では、量や数の( D )を理解して脱中心的な思考が可能になる。その後、おおよそ 12 歳以降は最終段階である「( E )」にあたり、記号や数字といった抽象的な事柄についても論理的な思考が可能になっていく。
ABCDE | |
1 | アイオカエ |
2 | アイクカエ |
3 | ウエオキク |
4 | ウエクカオ |
5 | ウクエキオ |
正解 2
ピアジェ(Piaget, J.)は、子どもが世界を認識する過程には、( A ア 質的 )に異なる4つの段階があると考えた。まず、誕生から2歳頃までは「感覚運動期」と呼ばれ、子どもは身近な環境に身体の感覚や動作を通して関わり、外界を知っていく。次に、2~7歳頃は「( B イ 前操作期 )」と呼ばれ、イメージや言葉を用いて世界を捉えることが可能になるが、物の見かけに捉われやすく論理的な思考には至らない。学童期に相当する「( C ク 具体的操作期 )」では、量や数の( D カ 保存 )を理解して脱中心的な思考が可能になる。その後、おおよそ 12 歳以降は最終段階である「( E エ 形式的操作期 )」にあたり、記号や数字といった抽象的な事柄についても論理的な思考が可能になっていく。
ABCD | |
1 | 〇〇〇〇 |
2 | 〇×〇× |
3 | ×〇×〇 |
4 | ××〇〇 |
5 | ×××× |
正解 4
A × 不適切です。設問は流動性知能についてです。
B × 不適切です。設問は結晶性知能についてです。
C 〇 適切です。
D 〇 適切です。
青年期は、家族以外の人との親密な関係を深めていく中で、青年は( A )の確立という新たな課題に直面する。エリクソン(Erikson, E.H.)は、青年期が、大人としての責任と義務を問われずに、自由に何かに打ち込み、挫折し、さらにまた何かを探し求めるといった経験、あるいは、様々な危機を経ることが重要であるとして、この期間を( B )期間であると考えた。
その後、マーシア(Marcia, J.E.)は、( A )の状態を4つの類型に分けて考える( C )を提唱した。この4類型の中の一つである( D )は、これまでに危機を経験していることはなく、自分の目標と親との目標の間に不協和がなく、どんな体験も、幼児期以来の信念を補強するだけになっているという、融通のきかなさが特徴的である。
ABCD | |
1 | アイウエ |
2 | アイエカ |
3 | アオクカ |
4 | ウイエキ |
5 | ウオクエ |
正解 1
青年期は、家族以外の人との親密な関係を深めていく中で、青年は( A ア アイデンティティ )の確立という新たな課題に直面する。エリクソン(Erikson, E.H.)は、青年期が、大人としての責任と義務を問われずに、自由に何かに打ち込み、挫折し、さらにまた何かを探し求めるといった経験、あるいは、様々な危機を経ることが重要であるとして、この期間を( B イ モラトリアム )期間であると考えた。
その後、マーシア(Marcia, J.E.)は、( A ア アイデンティティ )の状態を4つの類型に分けて考える( C ウ アイデンティティ・ステイタス )を提唱した。この4類型の中の一つである( D エ 早期完了 )は、これまでに危機を経験していることはなく、自分の目標と親との目標の間に不協和がなく、どんな体験も、幼児期以来の信念を補強するだけになっているという、融通のきかなさが特徴的である。
ABCD | |
1 | 〇〇〇〇 |
2 | 〇〇〇× |
3 | ×〇×〇 |
4 | ××〇× |
5 | ×××〇 |
正解 1
A 〇 適切です。
B 〇 適切です。
C 〇 適切です。
D 〇 適切です。
ABCD | |
1 | 〇〇〇× |
2 | 〇〇×〇 |
3 | 〇×〇× |
4 | ×〇×〇 |
5 | ×××〇 |
正解 4
A × 不適切です。「ここは日本だから」と日本の生活様式を積極的に取り入れることは不適切です。支援に当たって必要なことは基本的には日本の子どもと同じですが、文化や習慣の違いや言語面での配慮は必要です。
B 〇 適切です。
C × 不適切です。保護者支援も保育士の役割に含まれています。自分からSOSを発せない保護者にこそ保育士側から、気付いて声を掛けてあげる必要があります。
D 〇 適切です。
abcd | |
1 | アエウイ |
2 | イウエア |
3 | ウアイエ |
4 | ウイアエ |
5 | エアイウ |
正解 5
a エ
b ア
c イ
d ウ
ABCD | |
1 | 〇〇〇〇 |
2 | 〇〇〇× |
3 | ×〇〇〇 |
4 | ×××〇 |
5 | ×××× |
正解 3
A × 不適切です。家族は、お互いに直接あるいは間接に影響しあう存在です。
B 〇 適切です。
C 〇 適切です。
D 〇 適切です。
abcd | |
1 | イアウエ |
2 | イオウエ |
3 | イオカク |
4 | キアカエ |
5 | キオカク |
正解 2
a イ
b オ
c ウ
d エ
ABCD | |
1 | 〇〇〇× |
2 | 〇〇×〇 |
3 | 〇×〇× |
4 | ××〇〇 |
5 | ×××〇 |
正解 4
A × 不適切です。保育士は子どもの発達に寄り添い、その時期において適切な援助をすることが大切です。個々の子どもに適した対応と、援助者としての姿勢が求められています。常に励ますことは適切とはいえません。
B × 不適切です。主体的に活動するとは、自分の役割や立ち位置を考え、意思に基づいて責任を持って行動することです。
C 〇 適切です。
D 〇 適切です。
ABCD | |
1 | 〇〇〇〇 |
2 | 〇〇×× |
3 | 〇×〇〇 |
4 | ×〇×× |
5 | ×××〇 |
正解 3
A 〇 適切です。
B × 不適切です。自己評価をすることで保育士の子どもに対する理解が深まり、保育の質の確保・向上を図るための課題が明確化します。短期間にすべて改善するように勧めるのではなく、小さな計画を立てて徐々に保育の質を上げることが大切です。
C 〇 適切です。
D 〇 適切です。
【設問】
次のうち、【表】に示されている「夫婦が理想の子ども数を持たない理由」に関して、適切な文の組み合わせを一つ選びなさい。
A 「自分や夫婦の生活を大切にしたいから」の選択率は、他の年齢層に比べて 30歳未満で高い。
B 30 ~ 34歳では、「子育てや教育にお金がかかりすぎるから」に次いで、「これ以上、育児の心理的、肉体的負担に耐えられないから」の選択率が高い。
C 30歳代では、「自分の仕事(勤めや家業)に差し支えるから」という回答が他の年齢層に比べて多い。
D 35 ~ 39歳では、「子育てや教育にお金がかかりすぎるから」に次いで、「高年齢で生むのはいやだから」の選択率が高い。
1 | A B |
---|---|
2 | A C |
3 | B C |
4 | B D |
5 | C D |
正解 5
A × 不適切です。「自分や夫婦の生活を大切にしたいから」の選択率が高いのは、「30~ 34歳」です。
B × 不適切です。30~34歳で選択率が2番目に高いのは、「自分の仕事(勤めや家業)に差し支えるから」です。
C 〇 適切です。
D 〇 適切です。
ABCDE | |
1 | 〇〇〇×× |
2 | 〇×〇×× |
3 | 〇××〇〇 |
4 | ×〇×〇〇 |
5 | ××〇×〇 |
正解 2
A 〇 適切です。
B × 不適切です。向精神薬は、授乳中に投与しても乳児に移行する量は、通常では母親に投与された薬物量の1%以下のため有害ではないといわれています。
C 〇 適切です。
D × 不適切です。産後うつ病が母親と子どもの絆の形成を遅らせ、それに伴い言葉の発達も遅れる可能性が指摘されています。産後うつ病はおよそ10%の罹患率があり、気分の落ち込みや楽しみの喪失、自責感や自己評価の低下などを訴え、産後3か月以内に発症することが多いです。マタニティブルーズが通常は1~2週間でおさまるのに対し、症状は2週間以上持続します。
E × 不適切です。「反応性アタッチメント障害(反応性愛着障害)」は、親などの養育者から十分な愛着を形成されないことが原因で起こる障害です。
【事例】
Wちゃん(4歳、女児)は、保育所では活発で他の園児とも楽しく遊ぶ子である。身長体重は平均よりやや高く、重い。これらから保育所では、Wちゃんを特に気になる子どもとは考えていなかった。保育所には母親が送り迎えをしている。母親は、しばしば迎えの時間を忘れたり、間違えて遅くなることがあり、保育所はその都度、母親に電話連絡した。また、母親は冬であってもビーチサンダルで保育所に送り迎えし、Wちゃんが、「靴はいて」と話しても、頓着がないようである。Wちゃんは、母親が迎えに来ると、遅れた場合は「まただー」とややごねるが、そのあと保育所で当日あった話などをして、手をつないで楽しそうに帰って行くことが多い。
保育士が家庭訪問した時の観察では、Wちゃんにとって身体的に危険なほどではないが、家は整頓、片付けされていなかった。母親自身も家事全般が苦手であると話している。Wちゃんも「カレーライスにカレーをかけないで、食卓に出すよ」などと話したこともあった。Wちゃんは、不潔な服を着、髪もぼさぼさで登園することが時としてある。Wちゃんはそれを嫌がっているものの、「朝時間がなかったから」などと保育士に伝えていた。
【設問】
次のうち、保育所のWちゃんと母親への理解や対応として、適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
A Wちゃんが重度のネグレクトを受けている可能性が高いため、至急の児童相談所通報も視野に入れ、保育所で会議を行う。
B 母親の性格上のだらしなさや常識のなさを、Wちゃんへの深刻な悪影響も含め母親に指摘して訂正するよう導く。
C 母親とさらに時間をとって、困っていることや、通院歴などを聞き、母親理解を深める。
D Wちゃんに、母親から不適切で悪い対応を受け辛いであろうことを伝え、Wちゃんを保育所では情緒的に支え続ける。
ABCD | |
1 | 〇〇〇× |
2 | 〇〇×× |
3 | ×〇×× |
4 | ××〇× |
5 | ×××〇 |
正解 4
A × 不適切です。Wちゃんの身長体重は平均よりやや高く、重いため、重度のネグレクトを受けている可能性が高いとは言えません。
B × 不適切です。Wちゃんと母親が手をつないで楽しそうに帰っていく様子から、母親がWちゃんへ深刻な悪影響を与えているとは言えません。
C 〇 適切です。
D × 不適切です。Wちゃんに伝えることは適切ではありません。