三幸保育カレッジ

令和3年度 保育試験 過去問題

「保育の心理学(前期)」

令和3年度 保育士試験問題(前期)

1

 次の文はエインズワース(Ainsworth, M.D.S.)のアタッチメント(愛着)に関する記述である。A~Dの記述にあてはまる用語を【語群】から選択した場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

  • A 子どもが初めて訪れる部屋に親子を案内し、親と分離させたり、見知らぬ人と対面させたり、親と再会させることによって、子どもの反応を組織的に観察する実験法である。
  • B 親との分離に際し、泣くなどの混乱を示すということがほとんどない。
  • C 親との分離に際し、多少の泣きや混乱を示すが、親との再会時には積極的に身体接触を求め、すぐに落ちつく。
  • D 親との分離に際し、非常に強い不安や混乱を示し、親との再会時には、親に強く身体接触を求めるが、その一方で親に対して強い怒りを示す。
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正解  4  
A-イ SSP(ストレンジ・シチュエーション法)についての記述です。
B-エ Aタイプ(回避型)についての記述です。
C-オ Bタイプ(安定型)についての記述です。
D-ウ Cタイプ(アンビバレント型)についての記述です。

2

 次の幼児と保育士の園庭におけるやりとりを記述した【事例】を読んで、【設問】に答えなさい。

【事例】
 2~5歳児の子どもたちが砂場でそれぞれ遊んでいた。保育士が来ると、ある子どもが皿に型抜きをした砂を盛って「ハンバーグ」と言って差し出した。すると保育士は「わぁ、おいしそー」と言って、食べる真似をしたが、それがあまりにも上手で本当に食べてしまったようにも見えた。これに対して、子どもたちは次のような反応を示した。

2歳児: 保育士の様子をジーっと見つめた後、型抜きをした砂を食べられるものだと思ったのか、自分も一緒になって本当に食べようとした。

3歳児: 保育士の様子を不思議そうに見つめた後、少し気持ちが混乱したかのように「おいしい?」と聞いてきた。

4歳児: 「それ食べたら病気になるよ!」「早く口から出してー!」と焦った様子で保育士に伝えた。

5歳児: ちょっと驚いた様子をみせたが、冗談だと理解したのか「じゃあ、今度はこれも食べてー」と、次々、型抜きをした砂ハンバーグを持ってきて、「僕も食べるよー。なーんてね、嘘だよー」と言った。

【設問】
 次のA~Dのうち、上記の事例の説明として適切なものを○、不適切なものを×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

A 子どもの反応として、大まかには「信じ込み」から「疑い」そして「笑い」へという発達変化がみられる。

B 不可思議な出来事に対して、「疑い」の気持ちを持ちつつも、同時に「信じる」心もあわせ持っている。

C 虚構の世界と現実の世界の境界を揺れ動きながら、世界に対するものの見方や考え方を経験していく。

D ごっこ遊びの中で、子どもは虚構を虚構として認識することで、怖いものや不思議を楽しむようになる。

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2××
3××
4×××
5××

正解 1
A 〇 適切です。
B 〇 適切です。
C 〇 適切です。
D 〇 適切です。

3

 次の文は、子どもの言語発達に関する記述である。適切なものを○、不適切なものを×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

  • A 子どもは、時には「ワンワン」を犬だけでなく、ねこ、うま、うし、などのあらゆる四つ足動物に使ったり、大人の男性を「パパ」といったりするように、語を大人の語の適用範囲よりも広く使う。これを語の過大般用/語彙拡張(over-extention)という。
  • B 子どもは、時には自分のコップだけを「コップ」というなど、特定の文脈だけに限定された語の使用をする。これを語の過小般用/語彙縮小(over-restriction)という。
  • C 子どもが早期に獲得する語彙 50 語の中では、人や物のような目に見える具体物を表す名詞よりも、動きを表す動詞の方が獲得しやすい。
  • D 語彙爆発/語彙噴出(vocabulary spurt)とは、これまで少しずつ増えていた子どもの語彙が、ある時期に急増する現象をいう。
1
2×
3×
4×
5××

正解 2
A 〇 適切です。
B 〇 適切です。
C × 不適切です。子どもの初期の言語には物の名前をあらわす名詞(「ママ」「パパ」「わんわん」「まんま」等)の方が、動作をあらわす動詞(「ネンネ」「ナイナイ」「ダッコ」等)よりも多く含まれるといわれています。
D 〇 適切です。

4

 次の( A )~( D )にあてはまる語句を【語群】から選択した場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

 ヒトにおいては、発達の過程の中で遺伝と環境の問題は、( A )が発達を規定していると捉えられている。また、近代の高度産業社会の成立とともに、世代が新たになるにつれて、様々な発達が低年齢化したり、集団や地域差が生じるという( B )が指摘された。( B )には2つの側面がみられる。一つは、発達速度や発達水準の差を異なる世代間の相違とする( C )であり、①身長・体重の伸び、②第二次性徴発現の低年齢化などがあげられる。もう一つは、発達速度や発達水準の差を同世代間の集団差、地域差とする( D )であり、①都市部の青少年は、それ以外の郡部の青少年に比較して身長が高い、②都市部の児童は、それ以外の郡部の児童よりも性成熟が低年齢化している、などがあげられる。

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正解 4
 ヒトにおいては、発達の過程の中で遺伝と環境の問題は、( A イ 遺伝と環境の相互作用 )が発達を規定していると捉えられている。また、近代の高度産業社会の成立とともに、世代が新たになるにつれて、様々な発達が低年齢化したり、集団や地域差が生じるという( B  エ 発達加速現象 )が指摘された。( B エ 発達加速現象 )には2つの側面がみられる。一つは、発達速度や発達水準の差を異なる世代間の相違とする( C オ 年間加速現象 )であり、①身長・体重の伸び、②第二次性徴発現の低年齢化などがあげられる。もう一つは、発達速度や発達水準の差を同世代間の集団差、地域差とする( D カ 発達勾配現象 )であり、①都市部の青少年は、それ以外の郡部の青少年に比較して身長が高い、②都市部の児童は、それ以外の郡部の児童よりも性成熟が低年齢化している、などがあげられる。

5

 次の文は、ピアジェ(Piaget, J.)の発生的認識論に関する記述である。( A )~( D )にあてはまる語句を【語群】から選択した場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

 ピアジェの発生的認識論では、2~7歳の子どもは( A )にあたる。この時期は( B )と( C )とに分けて考えられている。この説によれば( B )では、子どもは2頭のゾウを見て、そこから共通性を取り出しゾウというひとまとまりである類として捉えることは難しく、「ゾウの花子」「ゾウの太郎」というようにそれぞれ個として考える。( C )では、カテゴリーを伴う思考ができるようになり、徐々に複数の知覚情報によって理解できるようになる。例えば、大きさだけで理解していたことが、大きさと重さの2つから考えられるようになり、「大きいけれど軽い」などの判断が可能になる。しかし、その一方で、この時期の子どもの判断は見かけにより左右され、また他人の視点にたって物事を捉えて行動することが難しいことなどをピアジェは( D )と名づけた。

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正解 5
 ピアジェの発生的認識論では、2~7歳の子どもは( A イ 前操作期 )にあたる。この時期は( B エ 前概念的思考 )と( C オ 直感的思考 )とに分けて考えられている。この説によれば( B エ 前概念的思考 )では、子どもは2頭のゾウを見て、そこから共通性を取り出しゾウというひとまとまりである類として捉えることは難しく、「ゾウの花子」「ゾウの太郎」というようにそれぞれ個として考える。( C オ 直感的思考 )では、カテゴリーを伴う思考ができるようになり、徐々に複数の知覚情報によって理解できるようになる。例えば、大きさだけで理解していたことが、大きさと重さの2つから考えられるようになり、「大きいけれど軽い」などの判断が可能になる。しかし、その一方で、この時期の子どもの判断は見かけにより左右され、また他人の視点にたって物事を捉えて行動することが難しいことなどをピアジェは( D キ 自己中心性 )と名づけた。

6

 次の文は、幼児の学びの過程に関する記述である。(a)~(d)の下線部分を説明するものとして、【説明欄】から選択した場合の最も適切な組み合わせを一つ選びなさい。

1
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正解 5
a エ 
b ウ 
c イ 
d ア 

7

 次の文のうち、「保育所保育指針」第2章「保育の内容」1「乳児保育に関わるねらい及び内容」の一部として、正しいものを○、誤ったものを×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

  • A 子どもからの働きかけを踏まえた、応答的な触れ合いや言葉がけによって、欲求が満たされ、安定感をもって過ごす。
  • B 保育士は、子どもの反応を引き出し、関心を方向づけ、保育士からの働きかけを受け止める力を育てるようにすると、子どもは身近な環境に親しみをしめすようになる。
  • C 生活の中でも、遊びの中でも、保育士等が主導し、たくさんの経験を重ねることで、後の子どもの主体性の芽生えを育む。
  • D 保育士等による語りかけや歌いかけ、発声や喃語等への応答を通じて、言葉の理解や発語の意欲が育つ。
1××
2××
3××
4×
5××

正解 3
A 〇 記述の通りです。
B × 誤りです。保育士が子どもの関心を方向づけるのではなく、子どもが探索意欲を満たして自由に遊べるように環境を整えることが大切です。
C × 誤りです。保育士が主導するのではなく、乳児保育は愛情豊かに、応答的に行われることが特に必要です。
D 〇 記述の通りです。

「保育所保育指針」第2章「保育の内容」1「乳児保育に関わるねらい及び内容」 参照。

8

 次のうち、観察法についての記述として、適切なものを○、不適切なものを×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

  • A 観察法は、構造化の程度によって構造化観察、半構造化観察、非構造化観察の3種類に分類される。
  • B 観察者が存在することによる影響をできるだけ避けようとする場合、傍観的観察を行う。
  • C 参与観察は、人の生活の場で対象となる人たちと関わりながら、観察することをいう。
  • D 現場に解決すべき課題があると気づいたとき、当事者たちの生活や社会をよくするために観察し、実践研究を進めていくことをアクションリサーチという。
1×
2××
3××
4×
5×××

正解 4
A × 不適切です。観察法には、自然的観察法(子どもの自然な姿を観察する方法)、実験的観察法(例として一定の時間子どもをグループで遊ばせて、その様子を観察する)、参加観察法があります。行動観察により、子どもの発達状態や、対人傾向、行動傾向などの情報を得ることができます。
B 〇 適切です。
C 〇 適切です。
D 〇 適切です。

9

 次のうち、「保育所保育指針」第4章「子育て支援」(2)「保護者の状況に配慮した個別の支援」に照らして、子どもの障害や発達上の課題への対応として適切なものを○、不適切なものを×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

  • A 他の子どもや保護者に対しては、保育所としての方針や取り組み等について丁寧に説明するとともに、必要に応じて障害に対する正しい知識や認識ができるように配慮する。
  • B かかりつけ医や保健センター等との連携をはじめ、児童発達支援センター等の専門機関からの助言を受けたりするなど、状況に応じて関係機関と協力しながら支援していくことが重要である。
  • C 保育所では、子どもへの援助に関する計画や記録を個別に作成して進め、一方、保護者支援は外部専門機関に託するなど、分けて考えるのが基本である。
  • D 就学に際しては、保護者の意向よりもこれまでの保育所生活を踏まえ、小学校や特別支援学校等への交渉を図ることが求められる。
1×
2××
3××
4×
5×××

正解 2 
A 〇 適切です。
B 〇 適切です。
C × 保護者支援は外部専門機関に託すのではなく、市町村や関係機関と連携及び協力を図りしつつ、保護者に対する個別の支援を行うよう努めます。
D × 就学に際して、子どもの就学先については市町村教育委員会が、本人・保護者に対し十分な情報提供をしつつ、本人・保護者の意見を最大限尊重し、本人・保護者と市町村教育委員会、学校等が教育的ニーズと必要な支援について合意形成を行うことを原則とし、最終的には市町村教育委員会が決定します。

「保育所保育指針」第4章「子育て支援」(2)「保護者の状況に配慮した個別の支援」参照。

10

 次の文は、学童期以降の仲間関係に関する記述である。( A )~( E )にあてはまる語句を【語群】から選択した場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

 小学生の中・高学年に形成される( A )の高い仲間集団は( B )と呼ばれる。 ( B )は、一緒に同じ活動に熱中することで得られる一体感や充実感を活力源とする集団である。一方、中学生頃の女児にしばしばみられる( C )は、お互いの感覚が同じであり「分かり合っている」ことを確認し、誇示する仲間集団である。( C )が( B )と異なるのは、単に同じ活動を共に行うだけでなく、共通の趣味や話題を核とした密接な関わりをもつ点にある。だが、どちらも( D )な性質をもつことは共通した特徴である。
 しかし、現代では、遊び場の減少や( E )の進行、ゲームなどの遊び方の変化により、こうした仲間集団のあり方が変化しているといわれる。

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正解 1
 小学生の中・高学年に形成される( A ア 凝集性 )の高い仲間集団は( B イ ギャング・グループ )と呼ばれる。( B イ ギャング・グループ )は、一緒に同じ活動に熱中することで得られる一体感や充実感を活力源とする集団である。一方、中学生頃の女児にしばしばみられる( C エ チャム・グループ )は、お互いの感覚が同じであり「分かり合っている」ことを確認し、誇示する仲間集団である。( C エ チャム・グループ )が( B イ ギャング・グループ )と異なるのは、単に同じ活動を共に行うだけでなく、共通の趣味や話題を核とした密接な関わりをもつ点にある。だが、どちらも( D ク 排他的 )な性質をもつことは共通した特徴である。
 しかし、現代では、遊び場の減少や( E キ 少子化 )の進行、ゲームなどの遊び方の変化により、こうした仲間集団のあり方が変化しているといわれる。

11

 次のA~Dのうち、エリクソン(Erikson, E.H.)の発達理論に関する記述として、適切なものを○、不適切なものを×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

  • A 生涯は8つの段階に区分され、各段階はその時期に達成されるべき発達課題をもち、それを乗り越えることにより次の段階に進むという過程をたどる。
  • B 学童期から青年期にあたる第4段階と第5段階では、「自主性 対 罪悪感」、「同一性 対 同一性の混乱」の危機がある。
  • C 青年期はアイデンティティを模索する時期であり、モラトリアムの時期としている。
  • D アイデンティティとは、自己の連続性と斉一性についての感覚であり、「自分とは何か」についての答えである。
1××
2×
3××
4×
5××

正解 2
A 〇 適切です。
B × 不適切です。学童期(児童期)は「勤勉 対 劣等感」です。「自主性(自発性) 対 罪悪感」は第3段階の幼児期後期です。
C 〇 適切です。
D 〇 適切です。

12

 次のA~Dのうち、幼児と周囲の大人との関係に関する記述として、「保育所保育指針」に照らして考えた場合、適切なものを○、不適切なものを×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

  • A 保育所の生活において地域の人たちと積極的に関わる体験をもつことは、人と関わる力を育てる上で大切である。
  • B 子どもが地域の人々との交流を通して、人間は一人だけで孤立して生きているのではなく、周囲の人たちと支え合って生きていることを実感することが大切である。
  • C 近年は、家庭においても地域においても人間関係が希薄化し、子どもたちの人と関わる力が弱まってきている。
  • D 保育士は、親や祖父母などの家族のことを話題にすることで、子どもが家族の愛情に気付き、家族を大切にしようとする気持ちをもつように働きかけることが必要である。
1
2×
3×
4×××
5××××

正解 1
A 〇 適切です。
B 〇 適切です。
C 〇 適切です。
D 〇 適切です。

13

 次のA~Dのうち、子育てを取り巻く社会的状況に関する記述として、適切な組み合わせを一つ選びなさい。

  • A 「保育所等関連状況取りまとめ(平成 31 年4月1日)」(令和元年 厚生労働省)において、保育所等待機児童数の状況を年齢別にみると0歳児の利用率が上昇傾向にあり、待機児童数は特に0歳児に多い。
  • B 「育児と介護のダブルケアの実態に関する調査」(平成 28 年 内閣府)によると、子育てと親の介護を同時に担うダブルケアを行う者は 30 歳~ 40 歳代が多く、男女ともにダブルケアを行う者全体の約8割を占める。
  • C ひとり親家庭になる原因の一つである離婚に関して、「平成 29 年(2017)人口動態統計の年間推計」(厚生労働省)によると、日本の年間婚姻件数と離婚件数の割合は、ほぼ4:1である。
  • D 「統計が語る平成のあゆみ」(平成 31 年 総務省)および「平成 30 年版男女共同参画白書概要」(平成 30 年 内閣府)によると、女性の社会進出に伴い、女性の労働力人口比率のM字型曲線は少しずつ緩やかになり、共働き世帯は増加している。
1A B
2A C
3B C
4B D
5C D

正解 4
A × 不適切です。待機児童数は減少しています。平成31年の待機児童数が多いのは「1・2歳児」です。
※「保育所等関連状況取りまとめ」は令和3年4月1日版が最新です。
B 〇 適切です。
C × 不適切です。平成29年人口動態統計では、婚姻件数は60万7000組、離婚件数は21万2000組なので、割合はほぼ4:1ではなく「ほぼ3:1」です。
※「令和元年(2019)人口動態統計の年間推計について」が最新です。
D 〇 適切です。
※「男女共同参画白書」は令和3年版が最新です。

14

 次のA~Dのうち、子育て支援に関する記述として、「保育所保育指針」に照らして適切なものを○、不適切なものを×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

  • A 保護者に対する子育て支援を適切に行うためには、自らの役割や専門性の範囲を踏まえると同時に、関係機関の役割や機能を理解して、各機関との連携を意識することが重要である。
  • B 「受容」とは、保護者の不適切な態度や要求を応諾することである。
  • C 人見知りや自己主張など、一見否定的に見える子どもの姿にも発達的意義があることを保護者に伝えることで、保護者の子ども理解が深まり、子どもへの関わりの質の向上につながる。
  • D 保護者の子育てを自ら実践する力を向上させるために、保育士は一定の水準を定め、すべての保護者をその水準に押し上げるよう支援することが求められる。
1×
2×
3××
4××
5×××

正解 3
A 〇 適切です。
B × 不適切です。「受容」とは保護者のありのままの姿を受け止めることです。
C 〇 適切です。
D × 不適切です。一人一人の保護者の状況やその意向を理解、受容し、それぞれの親子関係や家庭生活等に配慮しながら、様々な機会をとらえ、適切に援助することが求められます。

15

 次のA~Dのうち、幼児期の子ども同士で生じる「いざこざ」に関する記述として、適切なものを○、不適切なものを×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

  • A 幼児期の子どもは、相手の思いや意図を理解したり、同じイメージやルールの理解を共有したり、自分の情動をコントロールするといったことがまだ十分には身についていないため、いざこざが生じることが多い。
  • B 幼児期のいざこざには、たまたま相手の身体が触れて、自分の作っていた積み木が崩れてしまうなど、偶発的な理由から生じるものはない。
  • C いざこざに対する方略として、自分の権利を主張したり、交渉したり、保育士に「○○ちゃんがとった」と訴え、権威のある者に解決を依存することもある。
  • D 3歳後半頃になると、いざこざの体験を重ねることを通して人間関係が深まり、友達や周囲の人の気持ちに触れて、相手の気持ちに共感したり、相手の視点から自分の行動を振り返ったりして、考えながら行動する姿がみられるようになる。
1
2×
3××
4×××
5××××

正解 3
A 〇 適切です。
B × 不適切です。幼児期のいざこざの原因は、男児では「不快な働きかけ」、女児では「偶発」が多いです。
C 〇 適切です。
D × 不適切です。「相手の気持ちに共感する」「他人の立場になって考える」行動は、4~5歳辺りからできるようになります。

16

 次の【事例】を読んで、【設問】に答えなさい。

【事例】
 ある保育所で5歳児クラスの男児4人は、砂場で高い山を作ろうとして、山の近くの砂をかき集める、バケツに砂を入れて渡す、バケツを受け取って砂をかけるなどしている。その様子を見て、同じクラスのP君が「僕も入れて」と言いながらやって来た。男児4人は「ねぇ、P君は仲間だったっけ?」「最初から(砂山作りに)いなかったよねぇ」などと言い始めた。仲間に入りたいP君は「僕は力持ちだからたくさん砂を運べるよ」と訴えると、男児のうち一人が「そうだ、P君は力持ちなんだよね」と認め、他の男児も「そっか、P君が入ればパワーアップだ」と答え、4人は納得してP君を砂山作りの仲間に入れることにした。

【設問】
 この事例と、最も関連性の低い用語を一つ選びなさい。

1帰属意識
2協同性
3自己主張
4自他比較
5社会的参照

正解 5
1 「帰属意識」は「ある集団に属している、またはその集団の一員であるという意識や感覚」を意味するので、関連性があります。
2 「協同性」は「共に力や精神を併せて物事に当たること」を意味するので、関連性があります。
3 「自己主張」は「自分自身の意見や考えや欲求を他人に伝えること」を意味するので、関連性があります。
4 「自他比較」は「自分と他人を比較すること」を意味するので、関連性があります。
5 「社会的参照」は「初めて出会う場面や,赤ちゃんが自分だけの経験や知識では判断に迷う様な場面で,主に養育者の方を見て自分の行動を決める行動のこと」を意味するので、最も関連が低いです。

17

 次の文は、ブロンフェンブレンナー(Bronfenbrenner, U.)の生態学的システム論に関する記述である。A~Dの記述に該当する用語を【語群】から選択した場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

  • A 子どもが直接所属している家庭、保育所、幼稚園などをいう。
  • B 子どもが属している家庭と保育所の関係、あるいは家庭と地域の関係などをいう。
  • C 親の職業や社会福祉サービスなどをいう。
  • D 日本文化や制度、法律、宗教などをいう。
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正解 4
A-エ マイクロシステムは、子どもが行動を直接展開する家庭、学校、保育所などを指します。
B-イ メゾシステムは、職場や地域社会など複数のマイクロシステムが相互に影響し合うものを指します。
C-オ エクソシステムは、マスメディア、家族の友人など子どもに間接的な影響を与えるものを指します。
D-ウ マクロシステムは、文化のなかに存在している思想や考え方などを指します。

アのクロノシステムは、人生に影響を与えているライフイベント、時代的な流れを指します。

18

 次の【図】は、「平成 27 年度 第8回高齢者の生活と意識に関する国際比較調査結果」(内閣府)における、「別居している子供を持つ高齢者が、別居している子供と会ったり、電話等で連絡をとったりしている頻度」について示したものである。以下の【設問】に答えなさい。

【設問】
 次のA~Dのうち、【図】を説明する文として適切なものを○、不適切なものを×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

A 各国の「全体」では、「ほとんど毎日」と「週に1回以上」を合わせた割合は、アメリカ、ドイツ、スウェーデンでは6割を超えるが、日本はおおよそ5割である。

B 各国の「全体」では、日本、ドイツ、スウェーデンでは「週に1回以上」の割合が最も高く、次いで日本とスウェーデンでは「月に1~2回」の割合が高くなっている。

C 「男性」に着目すると、日本とドイツの男性は、「ほとんど毎日」と「週に1回以上」を合わせた割合が5割を下回っている。

D 性別で比較すると、4か国とも「ほとんど毎日」の割合は男性より女性で高く、特にアメリカとドイツでは女性の割合が男性よりも 10%以上高い。

1××
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3××
4×
5××

正解 3
A 〇 適切です。
B × 不適切です。スウェーデンは1番目が「週1回以上」、2番目が「ほとんど毎
日」です。
C × 不適切です。ドイツは「ほとんど毎日」と「週1回以上」を合わせた割合は5割を超えます(53.5%)。
D 〇 適切です。

※「高齢者の生活と意識に関する国際比較調査」は令和3年3月版が最新です。
A 日本は30.9%です。
B 4か国とも「週に1回以上」が最も多いです。
C 「ほとんど毎日」と「週1回以上」を合わせた割合は、日本は23.3%、ドイツは41.4%です。
D ドイツでは、「ほとんど毎日」(男性 16.0%、女性 17.2%)の割合に、男女差はみられません。

19

 次のA~Dのうち、選択性緘黙症に関する記述として、適切なものを○、不適切なものを×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

  • A 特定の場所(例えば保育所)で話すことが困難な選択性緘黙症の子どもでも、時にその保育所でよく話す時期がある。
  • B 選択性緘黙症の子どもの多くは、学業上の問題や対人コミュニケーション上の問題を持っていない。
  • C 選択性緘黙症の子どもは、ほとんどいつも他の不安症(例えば社交恐怖)をも有する。
  • D 選択性緘黙症の発症は、通常5歳未満である。
1×
2××
3×
4××
5×××

正解 4
A × 不適切です。選択性緘黙とは、言葉を話す能力には、おおむね問題がないにもかかわらず、保育所のような「特定の場面」になると一貫して話さなくなる状態をいいます。
B × 不適切です。選択性緘黙の障害は、授業中に当てられても発言することができない等の学業上の問題や、対人的コミュニケーションを妨げるものとなります。
C 〇 適切です。
D 〇 適切です。

20

 次の【事例】を読んで、【設問】に答えなさい。

【事例】
 ある 26 歳の保護者から保育士に次のような相談があった。「数か月前のある日、会社に遅刻した際に上司から注意を受けたが、それ以来たびたび息苦しさを感じるようになった。会社だけでなく、家でも、通勤途中の電車の中でも急に呼吸ができないような感じに襲われ、これがあまりにも度重なるため、『いつかまた突然同じ症状が出現するのではないか』と考えるだけで不安でたまらない。」

【設問】
 この事例で最も疑われる精神医学的問題を一つ選びなさい。

1統合失調症
2自閉スペクトラム症
3うつ病
4パニック障害
5疼痛性障害

正解 4    
 事例はパニック障害の記述です。三大症状として、突然理由もなしに強い不安と共に動悸や発汗、手足の震えといった症状が起きる「パニック発作」、またパニック発作が起こるのではないかと恐れる「予期不安」、発作が起こりそうな場所や状況を避ける「回避行動」があります。うつ症状を併発する場合もあり、外出や仕事など日常生活に支障をきたします。